今回は令和5年度下期 電力科目 B問題17、末端に太陽光発電が接続された単相3線式配電線路の電流分担と端子電圧を求める計算問題です。逆潮流がどこを流れるかをKCLで追います。
ポイントは太陽光の15Aが外線ループ(A-C間)を流れること。上負荷の一部を供給し、残りは中性線経由で下負荷を全量供給します。各節点でKCLを立てれば電流分担が決まり、線路抵抗の電圧降下から端子電圧を求めます。
令和5年度下期 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和5年度下期 B問題17
図のような単相3線式配電線路がある。系統の中間点に図のとおり負荷が接続されており、末端のAC間に太陽光発電設備が逆変換装置を介して接続されている。各部の電圧及び電流が図に示された値であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、図示していないインピーダンスは無視するとともに、線路のインピーダンスは抵抗であり、負荷の力率は1、太陽光発電設備は発電出力電流(交流側)15A、力率1で一定とする。
(a) 図中の回路の空白箇所(ア)〜(ウ)に流れる電流の値[A]の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 5 0 15 (2) 5 5 0 (3) 15 0 15 (4) 20 5 0 (5) 20 5 15 (b) 図中AB間の端子電圧VABの値[V]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)104.0 (2)104.5 (3)105.0 (4)105.5 (5)106.0 V


出題のポイント:逆潮流を接続点ごとに整理する

太陽光15 AはCからAへ逆潮流します。各接続点で流入と流出を一致させると、(ア,イ,ウ)=(5,5,0) Aです。次に各0.1 Ω区間の電圧降下・上昇と中性線の0.5 V移動を加味します。
(a) の答えは(2):(ア)5 A、(イ)5 A、(ウ)0 A
各節点でキルヒホッフの第1法則を立てます。
| 節点 | 流れ込む電流 | 流れ出す電流 | 式 |
| ★上負荷の節点 | ★★(ア)+15(太陽光) | ★★20(上負荷) | ★★(ア)=5 A |
| ★中性点 | ★★20(上負荷から) | ★★15(下負荷へ) | ★★(イ)=5 A |
| ★下負荷の節点 | ★★15(中性線から) | ★★15(下負荷) | ★★(ウ)=0 A |
★
★
★
太陽光の15 A が、A点から上外線を通って左へ流れます——ふつうと逆向きです。
上負荷20 A のうち15 A を太陽光が、残り5 A を変圧器が供給します——それが(ア)です。
下負荷15 A は、太陽光からの電流が中性線を通って全部まかないます——だから(ウ)=0なのです。
(a) キルヒホッフの電流則で電流分担を求める

電流が決まれば、電圧降下は掛け算だけです。
★
★ここが要点
★
★答え
A点の電圧は106.0 V まで上がっています——変圧器の105 V より高いのです。
太陽光の電流が逆向きなので、電圧降下が負になります——だから足し算です。
(b) 逆潮流と中性線電圧を含めてVABを求める

| 経路 | 流れる電流 | 行き先 |
| ★A点→上外線を左へ | ★★15 A | ★★上負荷の節点 |
| ★上負荷の節点→上負荷 | ★★15 A のうち一部 | ★★上負荷で消費 |
| ★中性線を右へ | ★★5 A | ★★下負荷へ |
| ★下外線→C点 | ★★15 A | ★★太陽光へ戻る |
太陽光はA点とC点の間につながっています——だから外線どうしのループを流れます。
そのループの途中に、上負荷と下負荷が入っています——両方に電流を供給できるのです。
下負荷は太陽光だけでまかなえるので、変圧器の下側は休みます——それが(ウ)=0です。
電流の経路を図で追うのが、この型の問題のこつです。
⚠️ よくある間違い
(ア)を15とする——太陽光が15 A 供給するので残り5 Aです。
(ウ)を15とする——太陽光がまかなうので0です。
(b)でA点の電圧を下げる——逆潮流なので上がります。
中性線の電流を35 A とする——差の5 Aです。
VAB を106.0 とする——B点の0.5 V を引きます。
⏱️ 本番での進め方
①★各節点でキルヒホッフの第1法則を立てる。
②★太陽光の電流は外線のループを流れる。
③★逆潮流の区間では電圧が上がる。
④★VAB は上外線と中性線の電位差。
💡 覚え方
「太陽光が先に供給し、足りない分を変圧器が出す」——それが(ア)=5です。下負荷は太陽光だけで足りる——だから(ウ)=0。
★同一の問題が平成19年度 B問題17(配電の計算:太陽光の逆潮流(H19))にあります。
逆変換装置という言葉
| 項目 | 内容 |
| ★別名 | ★★インバータ、パワーコンディショナ(PCS) |
| ★役目 | ★★太陽電池の直流を系統に合わせた交流に変える |
| ★出力 | ★★本問では交流側15 A、力率1 |
| ★その他の機能 | ★★最大電力点追従・単独運転検出・電圧上昇抑制 |
問題文が「交流側」と断っているのは、直流と区別するためです。
力率1なので、有効電力だけを送り出しています——無効電力はゼロです。
だから電流の計算が単純な足し引きで済みます。
中間点に負荷がある構成
| 位置 | つながっているもの |
| ★左端 | ★★変圧器の二次側(105/105 V) |
| ★中間点 | ★★上負荷20 A・下負荷15 A |
| ★右端(A−C間) | ★★太陽光発電設備15 A |
負荷が中間にあるので、両側から電流が流れ込みます——左は変圧器、右は太陽光です。
だから節点で足し算になり、KCLが立ちます——それが(a)の解き方です。
末端に太陽光があるという構成を、図で確かめましょう。
電流の向きを図に書き込む
| 段階 | すること |
| ★① | ★★太陽光から出る15 A の経路を矢印で描く |
| ★② | ★★各負荷に入る電流を書き込む |
| ★③ | ★★節点ごとに流入=流出の式を立てる |
| ★④ | ★★未知の電流を1つずつ決めていく |
頭の中だけで追うと必ず混乱します——図に書き込むのが確実です。
矢印の向きを決めたら、最後までそれを守ります——負の値が出てもそのまま。
この手順なら、複雑な回路でも解けます。
太陽光の出力が変わるとどうなるか
| 太陽光の出力 | (ア) | (ウ) | 状態 |
| ★0 A | ★★20 A | ★★15 A | ★★変圧器がすべて供給 |
| ★★15 A(本問) | ★★5 A | ★★0 A | ★★下側巻線が休む |
| ★20 A | ★★0 A | ★★−5 A | ★★系統へ送り返す |
太陽光が増えるほど、変圧器の負担が減ります——20 A を超えると逆に送り返すのです。
本問の15 A は、ちょうど下負荷分をまかなう値です——だから(ウ)=0になります。
出力の大きさで系統の様子が変わる、という感覚が大切です。
端子電圧が105 V を超える意味
| 地点 | 電圧 | 変圧器の105 V と比べて |
| ★P点 | ★★104.5 V | ★★0.5 V 低い |
| ★★A点 | ★★106.0 V | ★★1.0 V 高い |
| ★★VAB | ★★105.5 V | ★★0.5 V 高い |
末端のA点が、変圧器より1.0 V も高くなっています——逆潮流の効果です。
ふつうなら末端ほど低くなるはずです——そこが逆転しているのです。
105.5 V は許容範囲内ですが、上限107 V に近づいています。
(a)を先に解く理由
| (a) 電流分担 | (b) 端子電圧 | |
| ★求めるもの | ★★各部の電流 | ★★VAB |
| ★必要なもの | ★★KCLだけ | ★★(a)の電流 |
| ★つながり | ★— | ★★(a)がないと解けない |
(b)は(a)で求めた電流をそのまま使います——だから(a)を確実に。
電流が分かれば、あとは抵抗を掛けるだけです——計算は簡単になります。
B問題は前半が後半の足場になっている、という構造です。
まとめ
| (ア) | 上負荷節点 (ア)+15=20→5A |
| (イ) | 中性線 20−15=5A |
| (ウ) | 下負荷は太陽光で全供給→0A |
| (b)VA | 105−0.5+1.5=106.0V |
| (b)VB | 0.5V |
| (b)VAB | 105.5V |
| 答え | (a)-(2),(b)-(4) |
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