配電計算12【電験3種 電力】太陽光の逆潮流で電流分担(5,5,0)・端子電圧VAB=105.5V!令和5年度下期 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 令和5年度下期 B問題17 太陽光が逆潮流!端子電圧は105.5Vまで上昇

今回は令和5年度下期 電力科目 B問題17、末端に太陽光発電が接続された単相3線式配電線路の電流分担と端子電圧を求める計算問題です。逆潮流がどこを流れるかをKCLで追います。

ポイントは太陽光の15Aが外線ループ(A-C間)を流れること。上負荷の一部を供給し、残りは中性線経由で下負荷を全量供給します。各節点でKCLを立てれば電流分担が決まり、線路抵抗の電圧降下から端子電圧を求めます。

目次

令和5年度下期 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和5年度下期 B問題17 問題文
令和5年度下期 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和5年度下期 B問題17

 図のような単相3線式配電線路がある。系統の中間点に図のとおり負荷が接続されており、末端のAC間に太陽光発電設備が逆変換装置を介して接続されている。各部の電圧及び電流が図に示された値であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、図示していないインピーダンスは無視するとともに、線路のインピーダンスは抵抗であり、負荷の力率は1、太陽光発電設備は発電出力電流(交流側)15A、力率1で一定とする。

(a) 図中の回路の空白箇所(ア)〜(ウ)に流れる電流の値[A]の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)5015
(2)550
(3)15015
(4)2050
(5)20515

(b) 図中AB間の端子電圧VABの値[V]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)104.0 (2)104.5 (3)105.0 (4)105.5 (5)106.0 V

令和5年度下期 B問題17 太陽光発電を接続した単相3線式配電線路
令和5年度下期 B問題17 太陽光発電を接続した単相3線式配電線路
令和5年度下期 B問題17 太陽光発電を接続した単相3線式配電線路
令和5年度下期 B問題17 太陽光発電を接続した単相3線式配電線路
答え(a) 電流は (ア)5 A、(イ)5 A、(ウ)0 Aです。

出題のポイント:逆潮流を接続点ごとに整理する

太陽光逆潮流を含む単相3線式で接続点A、B、Cの電流を流入流出で整理する解説
接続点ごとの電流収支から、ア5 A右向き、イ5 A左向き、ウ0 Aを得ます。

太陽光15 AはCからAへ逆潮流します。各接続点で流入と流出を一致させると、(ア,イ,ウ)=(5,5,0) Aです。次に各0.1 Ω区間の電圧降下・上昇と中性線の0.5 V移動を加味します。

(a) の答えは(2):(ア)5 A、(イ)5 A、(ウ)0 A

各節点でキルヒホッフの第1法則を立てます

節点流れ込む電流流れ出す電流
★上負荷の節点★★(ア)+15(太陽光)★★20(上負荷)★★(ア)=5 A
★中性点★★20(上負荷から)★★15(下負荷へ)★★(イ)=5 A
★下負荷の節点★★15(中性線から)★★15(下負荷)★★(ウ)=0 A
\( (\text{ア})+15=20\ \Rightarrow\ (\text{ア})=5\ \mathrm{A} \)
上負荷の節点
\( (\text{イ})=20-15=5\ \mathrm{A} \)
中性線
\( (\text{ウ})=0\ \mathrm{A} \)
下負荷は太陽光がまかなう

太陽光の15 A が、A点から上外線を通って左へ流れます——ふつうと逆向きです。

上負荷20 A のうち15 A を太陽光が、残り5 A を変圧器が供給します——それが(ア)です。

下負荷15 A は、太陽光からの電流が中性線を通って全部まかないます——だから(ウ)=0なのです。

(a) キルヒホッフの電流則で電流分担を求める

接続点A、B、Cの電流収支からア、イ、ウを5、5、0アンペアと求める解説
太陽光15 A、上側負荷20 A、下側負荷15 Aを接続点ごとに整理し、選択肢(2)と照合します。

電流が決まれば、電圧降下は掛け算だけです

\( V_P=105-5\times 0.1=104.5\ \mathrm{V} \)
変圧器から上負荷まで((ア)=5 A)
\( V_A=104.5+15\times 0.1=106.0\ \mathrm{V} \)
太陽光の逆潮流で上昇
★ここが要点
\( V_Q=5\times 0.1=0.5\ \mathrm{V}=V_B \)
中性線での電位差
\( V_{AB}=106.0-0.5=105.5\ \mathrm{V} \)
上外線と中性線の差
★答え

A点の電圧は106.0 V まで上がっています——変圧器の105 V より高いのです。

太陽光の電流が逆向きなので、電圧降下が負になります——だから足し算です。

答え(b) 端子電圧 VAB は 105.5 Vです。

(b) 逆潮流と中性線電圧を含めてVABを求める

上側線路の逆潮流による電圧上昇と中性線電圧0.5ボルトから端子電圧105.5ボルトを求める解説
A点106.0 V、B点0.5 Vより、VAB=105.5 Vとなり選択肢(4)です。
経路流れる電流行き先
★A点→上外線を左へ★★15 A★★上負荷の節点
★上負荷の節点→上負荷★★15 A のうち一部★★上負荷で消費
★中性線を右へ★★5 A★★下負荷へ
★下外線→C点★★15 A★★太陽光へ戻る

太陽光はA点とC点の間につながっています——だから外線どうしのループを流れます。

そのループの途中に、上負荷と下負荷が入っています——両方に電流を供給できるのです。

下負荷は太陽光だけでまかなえるので、変圧器の下側は休みます——それが(ウ)=0です。

電流の経路を図で追うのが、この型の問題のこつです

⚠️ よくある間違い
(ア)を15とする——太陽光が15 A 供給するので残り5 Aです。
(ウ)を15とする——太陽光がまかなうので0です。
(b)でA点の電圧を下げる——逆潮流なので上がります
中性線の電流を35 A とする——差の5 Aです。
VAB を106.0 とする——B点の0.5 V を引きます

⏱️ 本番での進め方
①★各節点でキルヒホッフの第1法則を立てる。
②★太陽光の電流は外線のループを流れる。
③★逆潮流の区間では電圧が上がる。
④★VAB は上外線と中性線の電位差。

💡 覚え方
「太陽光が先に供給し、足りない分を変圧器が出す」——それが(ア)=5です。下負荷は太陽光だけで足りる——だから(ウ)=0

★同一の問題が平成19年度 B問題17配電の計算:太陽光の逆潮流(H19))にあります。

逆変換装置という言葉

項目内容
★別名★★インバータ、パワーコンディショナ(PCS)
★役目★★太陽電池の直流を系統に合わせた交流に変える
★出力★★本問では交流側15 A、力率1
★その他の機能★★最大電力点追従・単独運転検出・電圧上昇抑制

問題文が「交流側」と断っているのは、直流と区別するためです。

力率1なので、有効電力だけを送り出しています——無効電力はゼロです。

だから電流の計算が単純な足し引きで済みます

中間点に負荷がある構成

位置つながっているもの
★左端★★変圧器の二次側(105/105 V)
★中間点★★上負荷20 A・下負荷15 A
★右端(A−C間)★★太陽光発電設備15 A

負荷が中間にあるので、両側から電流が流れ込みます——左は変圧器、右は太陽光です。

だから節点で足し算になり、KCLが立ちます——それが(a)の解き方です。

末端に太陽光があるという構成を、図で確かめましょう

電流の向きを図に書き込む

段階すること
★①★★太陽光から出る15 A の経路を矢印で描く
★②★★各負荷に入る電流を書き込む
★③★★節点ごとに流入=流出の式を立てる
★④★★未知の電流を1つずつ決めていく

頭の中だけで追うと必ず混乱します——図に書き込むのが確実です。

矢印の向きを決めたら、最後までそれを守ります——負の値が出てもそのまま

この手順なら、複雑な回路でも解けます

太陽光の出力が変わるとどうなるか

太陽光の出力(ア)(ウ)状態
★0 A★★20 A★★15 A★★変圧器がすべて供給
★★15 A(本問)★★5 A★★0 A★★下側巻線が休む
★20 A★★0 A★★−5 A★★系統へ送り返す

太陽光が増えるほど、変圧器の負担が減ります——20 A を超えると逆に送り返すのです。

本問の15 A は、ちょうど下負荷分をまかなう値です——だから(ウ)=0になります。

出力の大きさで系統の様子が変わる、という感覚が大切です

端子電圧が105 V を超える意味

地点電圧変圧器の105 V と比べて
★P点★★104.5 V★★0.5 V 低い
★★A点★★106.0 V★★1.0 V 高い
★★VAB★★105.5 V★★0.5 V 高い

末端のA点が、変圧器より1.0 V も高くなっています——逆潮流の効果です。

ふつうなら末端ほど低くなるはずです——そこが逆転しているのです。

105.5 V は許容範囲内ですが、上限107 V に近づいています

(a)を先に解く理由

(a) 電流分担(b) 端子電圧
★求めるもの★★各部の電流★★VAB
★必要なもの★★KCLだけ★★(a)の電流
★つながり★—★★(a)がないと解けない

(b)は(a)で求めた電流をそのまま使います——だから(a)を確実に

電流が分かれば、あとは抵抗を掛けるだけです——計算は簡単になります。

B問題は前半が後半の足場になっている、という構造です

まとめ

(ア)上負荷節点 (ア)+15=20→5A
(イ)中性線 20−15=5A
(ウ)下負荷は太陽光で全供給→0A
(b)VA105−0.5+1.5=106.0V
(b)VB0.5V
(b)VAB105.5V
答え(a)-(2),(b)-(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・太陽光と単相3線式(配電計算20):【電力】令和元年度 B問題17
・分散型電源の逆潮流(配電24):【電力】平成27年度 A問題5

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