今回は平成21年度 電力科目 B問題15を解説します。最大出力600MW・重油の発熱量44000kJ/kgの重油専焼火力発電所について、(a)45000MW·hを発電したときの発電端効率と、(b)24時間運転(効率40.0%)で発生する二酸化炭素の量を求める問題です。
実はこの問題、令和7年度下期 B問題15(火力2)の前身で構成が瓜二つ。ただし重油の量が9.3×10³t(令和7年度下期は9.1×10³t)、(b)の効率が40.0%(同45.0%)と数値が違うので、答えの数値も変わります。型を覚えて数値はその年のものを使う——過去問学習の王道です。
平成21年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15
電験3種 電力科目 【火力】 平成21年度 B問題15
最大出力600[MW]の重油専焼火力発電所がある。重油の発熱量は44000[kJ/kg]で、潜熱は無視するものとして、次の(a)及び(b)に答えよ。
最大出力600[MW]の重油専焼火力発電所がある。重油の発熱量は44000[kJ/kg]で、潜熱は無視するものとして、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 45000[MW·h]の電力量を発生するために、消費された重油の量が9.3×10³[t]であるときの発電端効率[%]の値として、最も近いのは次のうちどれか。(1)37.8 (2)38.7 (3)39.6 (4)40.5 (5)41.4 %
(b) 最大出力で24時間運転した場合の発電端効率が40.0[%]であるとき、発生する二酸化炭素の量[t]として、最も近い値は次のうちどれか。なお、重油の化学成分は重量比で炭素85.0[%]、水素15.0[%]、原子量は炭素12、酸素16とする。炭素の酸化反応は次のとおりである。 C+O₂→CO₂
(1)3.83×10² (2)6.83×10² (3)8.03×10² (4)9.18×10³ (5)1.08×10⁴ t

(a) 電力量と燃料から効率を逆算
出力ではなく電力量が与えられています——どちらも kJ にそろえて割るだけです。
★×10³ で kW·h、×3600 で kJ
★1 t=10³ kg
★39.6 %
最大出力600 MW という数値は使いません——電力量と燃料が与えられているからです。
使わない数値が混ぜてある——(b)で使うために書かれているのです。
(b) 24時間運転の二酸化炭素
今度は最大出力600 MW と効率40.0 % を使います。
★約2,945 t
★約9.18×10³ t
(a)の39.6 % ではなく、(b)で与えられた40.0 % を使う——小問ごとに条件が変わります。
令和7年度下期にほぼ同じ問題がある
設定も選択肢も酷似していますが、数値だけが違います。
| ★平成21年度(本問) | ★令和7年度下期 | |
| 最大出力 | 600 MW | 600 MW(同じ) |
| 電力量 | 45,000 MW·h | 45,000 MW·h(同じ) |
| ★(a)の重油量 | ★9.3×10³ t | ★9.1×10³ t |
| ★(a)の答え | ★39.6 %((3)) | ★40.5 %((4)) |
| ★(b)の効率 | ★40.0 % | ★45.0 % |
| ★(b)の答え | ★9.18×10³ t((4)) | ★8.16×10³ t((3)) |
(a)の選択肢は5つとも同じ数値が並んでいます——37.8/38.7/39.6/40.5/41.4。
重油が少なければ効率は高くなる——9.1 のほうが9.3 より少ないので、効率は上になります。
答えの番号が(3)と(4)で入れ替わる——番号を覚えても意味がないことがよく分かる例です。
⚠️ よくある間違い
(a)で最大出力600 MW を使ってしまう——運転時間が分からないので計算できません。電力量が直接与えられているのですから、そのまま使います。
(a)で3600を掛け忘れる——桁が大きく外れるので気づけます。
(b)で(a)の効率39.6 % を使う——(b)は「発電端効率が40.0 % であるとき」と改めて条件を与えています。
(b)で水素15 % も足す——水素は H₂O になるので CO₂ には関係ありません。
(b)で24時間を掛け忘れる——383 t となって選択肢(1)の3.83×102 に一致します。
⏱️ 本番での進め方
①(a)★電力量が与えられていれば、出力は使わない。
②(a) 45,000 MW·h→×10³×3600 で kJ に。
③(b)★小問ごとに効率の条件が変わる。読み直す。
④(b)★24時間を掛け忘れると(1)に誘導される。
💡 覚え方
「与えられたものから素直に計算する」——(a)は電力量と燃料、(b)は出力と時間と効率。小問ごとに使う数値が違います。
ほぼ同じ問題が令和7年度下期 B問題15(火力:重油専焼火力の発電端効率とCO₂)にあります。数値だけが違い、答えの番号が入れ替わっています。
効率を電力量から求めるか、出力から求めるか
本問は(a)と(b)で、出発点が違います。
| 小問 | 与えられるもの | 求めるもの | 使う数値 |
| ★(a) | ★電力量45,000 MW·h と重油9,300 t | ★効率 | ★最大出力は使わない |
| ★(b) | ★最大出力600 MW・24時間・効率40.0 % | ★CO₂ の量 | ★(a)の答えは使わない |
(a)では電力量が直接与えられている——出力と時間から計算する必要がありません。
(b)では逆に、出力と時間から電力量を作ります——与えられ方が逆になっているのです。
問題文をよく読み、何が与えられているかを整理する——それが計算の第一歩になります。
設備利用率を確かめる
★3日強の運転量
(a)の45,000 MW·h は、3日強フル運転した量——期間は書かれていませんが、規模の見当がつきます。
効率は期間によらない——だから何日ぶんかを知らなくても計算できるのです。
この1問で押さえること
(a)は電力量と燃料から効率を逆算——1.62×10¹¹÷4.092×10¹¹=39.6 %。最大出力600 MW は使いません。
(b)は出力・時間・効率から燃料を出し、CO₂ に換算——約9.18×10³ t です。
(a)の効率39.6 % を(b)に持ち込まない——(b)は40.0 % と改めて与えられています。
令和7年度下期との違い
| ★平成21年度(本問) | ★令和7年度下期 | |
| (a)の重油量 | ★9.3×10³ t | ★9.1×10³ t |
| (a)の答え | ★39.6 %((3)) | ★40.5 %((4)) |
| (b)の効率 | ★40.0 % | ★45.0 % |
| (b)の答え | ★9.18×10³ t((4)) | ★8.16×10³ t((3)) |
数値だけが違い、解き方はまったく同じ——手順を身につけていれば、どちらも確実に取れます。
答えの番号が(3)(4)と(4)(3)で入れ替わる——過去問の番号を覚えていると、かえって間違えます。
まとめ
| (a)出力の熱量 | 45000×10³×3600=1.62×10¹¹kJ |
| (a)発電端効率 | 1.62×10¹¹/(9.3×10⁶×44000)≒39.6%→(3) |
| (b)重油量 | 5.184×10¹⁰/0.40/44000≒2945t |
| (b)炭素 | 2945×0.85≒2504t(水素15%は無関係) |
| (b)CO₂ | 2504×44/12≒9.18×10³t→(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・重油専焼火力の発電端効率とCO₂(火力2・後継の令和7年度下期版):【電力】令和7年度下期 B問題15
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成21年度 問題一覧(全4科目)

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