火力43【電験3種 電力】保護装置の誤りは「蒸気加減弁」!3度出題された最頻出の引っかけ 平成24年度 A問題3 完全解説

電験3種 電力科目 火力 平成24年度 A問題3 3度出題された最頻出の引っかけ!保護装置を攻略

今回は平成24年度 電力科目 A問題3を解説します。汽力発電所の保護装置について誤っているものを選ぶ問題です。★この内容は令和2年度 A問題3・令和7年度下期 A問題3でも出題されており、電験の電力科目で最も再利用されている問題の一つです。

ねらいは毎回同じで「蒸気加減弁」と「安全弁」のすり替え。本問は組合せ形式ではなく誤り1つを直接選ぶ形式なので、蒸気加減弁の記述を見つけたら即答できます。

目次

平成24年度 電力科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 平成24年度 A問題3 問題文
平成24年度 電力科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題3

電験3種 電力科目 【火力】 平成24年度 A問題3

 汽力発電所の保護装置に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

ボイラ内の蒸気圧力が一定限度を超えたとき、蒸気を放出させ機器の破損を防ぐ蒸気加減弁が設置されている。
ボイラ水の循環が円滑に行われないとき、水管の焼損事故を防止するため、燃料を遮断してバーナを消火させる燃料遮断装置が設置されている。
蒸気タービンの回転速度が定格を超える一定値以上に上昇すると、自動的に蒸気止弁を閉じて、タービンを停止する非常調速機が設置されている。
蒸気タービンの軸受油圧が異常低下したとき、タービンを停止させるトリップ装置が設置されている。
発電機固定子巻線の内部短絡を検出・保護するために、比率差動継電器が設置されている。

答え誤っている記述は (1)——「蒸気加減弁」を「安全弁」に直せば正しくなります

誤りは(1):蒸気を放出するのは安全弁

蒸気加減弁はタービンへ送る蒸気量を調整する弁——圧力を逃がす装置ではありません

★蒸気加減弁★安全弁
目的★出力の調整★圧力超過の防止
動くとき★通常運転中★異常時のみ
蒸気の行き先★タービンへ★大気へ放出
操作★調速機が連続的に動かす★ばねの力で自動的に開く

加減弁を閉じても、ボイラの圧力は下がりません——むしろ行き場を失って上がるのです。

だから逃がす専用の弁が別に要る——それが安全弁になります。

この設問は繰り返し出題されている

まったく同じ内容が、複数の年度で問われています

年度出題形式誤り/不適切の箇所
★平成24年度 A3(本問)★5つの記述から誤りを選ぶ★(1) 蒸気加減弁
★令和7年度下期 A3★a)〜e)の適切/不適切の組合せ★c) 蒸気加減弁

記述の文面もほとんど同じ——「蒸気を放出させて機器の破損を防ぐ」という一句が共通です。

形式が変わっても、問われている知識は同じ——一度覚えれば、どの形で出ても解けます

逆に言えば、ここを落とすと繰り返し失点する——確実に押さえておきたいところです。

保護装置は連鎖して動く

1つの異常が、いくつもの動作を引き起こします——インターロックと呼ばれる仕組みです。

段階起きること
★異常を検出(回転速度上昇・油圧低下など)
★蒸気止弁が閉じてタービンが停止
★発電機が系統から切り離される
★ボイラの蒸気が行き場を失う
★安全弁・逃がし弁が開いて圧力を逃がす
★燃料が絞られる、または遮断される

タービンを止めれば、それで終わりではありません——ボイラは火が入ったままだからです。

だから安全弁で圧力を逃がしつつ、燃料も絞る——一連の動作が自動で行われることになります。

本問の5つの装置は、それぞれこの連鎖の一部を担っています——単独ではなく、組み合わさって発電所を守るのです。

⚠️ よくある間違い
(1)の後半だけを読んで正しいと判断する——「蒸気を放出させ機器の破損を防ぐ」は安全弁の説明として正しいのです。
誤りは装置名だけ——働きの説明が正しいので、読み流すと気づけません
(2)の「燃料遮断装置」を疑ってしまう——正しいのです。水管の焼損を防ぐには、まず火を消すのが確実です。
(3)(4)(5)もすべて標準的な保護装置——非常調速機・軸受油圧トリップ・比率差動継電器5つのうち1つだけが誤りという構成です。
装置名と働きの対応を確かめるのが、この型の解き方になります。

⏱️ 本番での進め方
①★蒸気を放出するのは安全弁。加減弁は出力調整。
②装置名は正しくても、働きが違えば誤り。
③★同じ設問が令和7年度下期にも出ている。
④(2)〜(5)はすべて標準的な保護装置。

💡 覚え方
「加減弁は送る、安全弁は逃がす」——蒸気の行き先が違います加減弁はタービンへ、安全弁は大気へ——そう考えれば取り違えません

同じ内容が令和7年度下期 A問題3火力:汽力発電所の保護装置)にあります。出題形式が違うだけです。

正誤判定の進め方

5つとも「〜のため、〜が設置されている」という同じ形——装置名と働きの対応を確かめます

記述装置説明されている働き判定
★(1)★蒸気加減弁★蒸気を放出して圧力超過を防ぐ★誤り(安全弁)
(2)燃料遮断装置バーナを消火して水管を守る正しい
(3)非常調速機蒸気止弁を閉じて過速度を防ぐ正しい
(4)トリップ装置軸受油圧低下でタービンを停止正しい
(5)比率差動継電器発電機の内部短絡を検出正しい

(1)の説明文だけを取り出せば、まったく正しい——安全弁の定義そのものです。

だから装置名のほうを疑う——「この働きをするのは本当にこの装置か」問い直すのが解き方になります。

逆に(3)(4)(5)は、装置名と働きがきれいに対応しています——疑う余地がありません

ボイラの保護をもう少し詳しく

(2)の燃料遮断は、いくつもの条件で働きます

検出するもの危険な状態
★ドラム水位の異常低下★蒸発管が空焚きになる
★全火炎喪失(失火)★未燃の燃料が炉内に溜まり、爆発のおそれ
★通風機の停止★燃焼用空気が来ない
燃料圧力の異常安定した燃焼ができない

いずれも「まず火を消す」ことで被害を防ぎます——熱の供給を止めるのが最も確実だからです。

失火時に燃料を送り続けると、炉内に可燃ガスが充満します——再点火した瞬間に爆発する——炉内爆発と呼ばれる重大事故です。

だから失火を検出したら、即座に燃料を遮断し、炉内を換気(パージ)してから再点火する——手順が厳格に決められています

保護装置の全体像

汽力発電所の保護は、守る対象で3つに分かれます

対象主な保護本問
★ボイラ★安全弁・燃料遮断装置・ドラム水位★(1)(2)
★タービン★非常調速機・軸受油圧トリップ・振動★(3)(4)
★発電機★比率差動・地絡・界磁喪失・逆電力★(5)

5つの記述が、3つの対象をきれいに網羅しています——よくできた出題だと言えます。

ボイラは「熱の暴走」、タービンは「回転の暴走」、発電機は「電気の異常」——守るべきものが違えば、検出するものも違うのです。

どこから止めるか

異常の種類によって、止め方の順序が変わります

タービン側の異常なら、まず蒸気を止める——回転を落とすのが先です。

ボイラ側の異常なら、まず火を消す——熱の供給を断つのが先になります。

いずれの場合も、その後に残る蒸気の圧力を安全弁で逃がす——装置が連鎖して働くことになります。

だから安全弁は「最後の砦」——他のすべてが働いた後でも、圧力だけは物理的に逃がさなければならないのです。

その役目を蒸気加減弁が担えないのは、行き先がタービンだから——タービンが止まっている以上、そこへは送れません大気へ逃がす弁が別に要る理由がここにあります。

安全弁の設置場所

場所ねらい
★ドラム★ボイラ本体の圧力を守る
★過熱器出口★過熱器の管を守る(先に開くよう設定)
再熱器再熱蒸気系統を守る

過熱器出口の安全弁は、ドラムのものより低い圧力で開くよう設定されます——先に蒸気を流して、過熱器の管を冷やし続けるためです。

蒸気が流れなくなると、過熱器の管は炉の熱で焼けてしまいます——圧力を逃がすだけでなく、流れを保つ役目も持っているのです。

まとめ

(1)蒸気加減弁蒸気を放出するのは安全弁→誤り
(2)燃料遮断装置循環不良時にバーナ消火→正しい
(3)非常調速機定格超過の速度上昇で蒸気止弁を閉鎖→正しい
(4)トリップ装置軸受油圧の異常低下で停止→正しい
(5)比率差動継電器固定子巻線の内部短絡を検出→正しい。答えは(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・汽力発電所の保護装置(火力23・同内容の組合せ形式):【電力】令和2年度 A問題3

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成24年度 問題一覧(全4科目)

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