今回は令和7年度下期 電力科目 B問題15を解説します。最大出力600MW・重油の発熱量44000kJ/kgの重油専焼火力発電所について、(a)発電端効率と(b)24時間運転時の二酸化炭素発生量を求める問題です。
効率は出力の熱量÷入れた熱量。ここで1kW·h=3600kJの換算が生命線です。CO₂は重油→炭素85%→C+O₂→CO₂で質量が44/12倍という流れで求めます。
令和7年度下期 電力科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15
電験3種 電力科目 【火力】 令和7年度下期 B問題15
最大出力600MWの重油専焼火力発電所がある。重油の発熱量は44000kJ/kgで、潜熱は無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
最大出力600MWの重油専焼火力発電所がある。重油の発熱量は44000kJ/kgで、潜熱は無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 45000MW·hの電力量を発生するために使用された重油消費量が9.1×10³tであるときの発電端効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。(1)37.8 (2)38.7 (3)39.6 (4)40.5 (5)41.4 %
(b) 最大出力で24時間運転した場合の発電端効率が45.0%であるとき、発生する二酸化炭素量の値[t]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお、重油の化学成分は重量比で炭素85.0%、水素15.0%、原子量は炭素12、酸素16とする。炭素の酸化反応は次のとおりである。 C+O₂→CO₂
(1)6.83×10² (2)6.83×10³ (3)8.16×10³ (4)9.18×10³ (5)1.08×10⁴ t
出題のポイント:エネルギーから燃料とCO₂へつなぐ

効率計算では電気出力と燃料入力熱量の単位をkJにそろえます。CO₂計算では効率から入力熱量、発熱量から重油質量、炭素含有率85%、最後にCとCO₂の質量比44/12へ順につなぎます。
(a) 重油が少ないほど効率は高い
★40.5 %
同じ電力量を、より少ない燃料で作った——だから効率が高いのです。
分母が小さくなれば、割り算の答えは大きくなる——計算する前に、どちらへ動くか見当がつきます。
解法の原理:火力計算のエネルギーと質量の流れ

★入熱
★約2,618 t
★約8.16×10³ t
効率45.0 % は、平成21年度の40.0 % より高い——だから燃料が少なくて済み、CO₂ も少なくなります。
| 効率 | 1日の重油 | 1日の CO₂ |
| 40.0 % | 2,945 t | 9,180 t |
| ★45.0 % | ★2,618 t | ★8,160 t |
| 差 | −327 t | ★−1,020 t(11 % 減) |
効率を5 ポイント上げるだけで、CO₂ が1日1,000 t 減る——効率向上がそのまま環境対策になることが数字で分かります。
平成21年度との対比
| 平成21年度 B15 | ★令和7年度下期(本問) | |
| ★(a)の重油量 | ★9.3×10³ t | ★9.1×10³ t |
| ★(a)の答え | ★39.6 %((3)) | ★40.5 %((4)) |
| ★(b)の効率 | ★40.0 % | ★45.0 % |
| ★(b)の答え | ★9.18×10³ t((4)) | ★8.16×10³ t((3)) |
(a)の選択肢は5つとも同じ数値——37.8/38.7/39.6/40.5/41.4 が並んでいます。
答えの番号が(3)(4)と(4)(3)で入れ替わっている——過去問の番号を覚えていると、かえって間違えます。
解き方はまったく同じ——数値を入れ替えるだけですから、手順さえ身につけていれば確実に取れる問題です。
⚠️ よくある間違い
平成21年度の答えを覚えていて(3)を選ぶ——本問の(a)は(4)です。
重油が9.3から9.1へ減っている——同じ電力量を少ない燃料で作れば効率は上がるのです。
(b)で(a)の効率40.5 % を使う——(b)は「発電端効率が45.0 % であるとき」と改めて条件を与えています。
(b)で24時間を掛け忘れる——340 t となって選択肢(1)の6.83×102 とは合いませんが、桁で気づけます。
(b)で水素15 % も足す——9,600 t 前後となり選択肢(4)に近づいて危険です。
⏱️ 本番での進め方
①(a)★分母(燃料)が小さければ効率は高い。動く向きを先に読む。
②(b)★効率が高いほど燃料も CO₂ も少ない。
③★平成21年度と数値だけが違う。番号で覚えない。
④小問ごとに効率の条件を読み直す。
💡 覚え方
「効率が上がれば燃料も CO₂ も減る」——同じ電力を少ない燃料で作れるからです。効率5 ポイントで CO₂ が1割減る——効率向上が環境対策そのものだと分かります。
ほぼ同じ問題が平成21年度 B問題15(火力:重油専焼火力の発電端効率とCO₂)にあります。
効率が CO₂ に効く仕組み
本問の(b)は、効率向上の意味を数字で示しています。
★11 % 減る
★一致
燃料が11 % 減れば、CO₂ も11 % 減ります——比例関係だからです。
効率を5 ポイント上げるという技術的な努力が、そのまま1割の CO₂ 削減になる——USC や IGCC が追求される理由がここにあります。
燃料転換と効率向上の比較
| 対策 | CO₂ の削減率 | 難しさ |
| ★効率を40→45 % | ★約11 % 減 | ★材料技術の進歩が要る |
| ★石炭→LNG | ★約40 % 減 | ★燃料費が上がる |
| ★火力→原子力・再エネ | ★ほぼ100 % 減 | ★立地や安定供給の課題 |
効率向上だけでは、削減幅に限りがあります——それでも既存の設備で取り組める現実的な手段です。
燃料転換のほうが効果は大きい——けれども費用と供給の安定性が問われることになります。
この1問で押さえること
(a)は同じ電力量をより少ない重油(9.1×10³ t)で作った場合——効率は40.5 % と高くなります。
(b)は効率45.0 % での24時間運転——燃料2,618 t、CO₂ 8,160 t です。
効率が高いほど燃料も CO₂ も少ない——燃料は効率に反比例します。
計算の順序
| 小問 | 順序 |
| ★(a) | ★電力量→kJ/重油→kJ/割る |
| ★(b) | ★出力÷効率→×24×3600→÷発熱量→×0.85→×44/12 |
(a)は2つの量を kJ にそろえて割るだけ——最も単純な形です。
(b)は5段階——どの段階も掛けるか割るかだけですが、向きを1つ間違えると答えが変わります。
各段階で「増えるはずか、減るはずか」を確かめる——それが最も確実な検算になります。
問題の解説:(a)効率と(b)CO₂発生量を順に求める


| (a)出力の熱量 | 45000×10³kW·h×3600=1.62×10¹¹kJ |
| (a)入熱 | 9.1×10⁶kg×44000=4.004×10¹¹kJ→η≒40.5%→(4) |
| (b)電力量 | 600×10³×24=1.44×10⁷kW·h→5.184×10¹⁰kJ |
| (b)重油量 | 5.184×10¹⁰/0.45/44000=2.618×10⁶kg=2618t |
| (b)CO₂ | 2618×0.85×44/12≒8160t=8.16×10³t→(3) |
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