今回は平成25年度 電力科目 A問題2を解説します。排熱回収方式のコンバインドサイクル発電所で、全体の熱効率が48%、ガスタービン排気の熱量に対する蒸気タービンの熱効率が20%のとき、ガスタービン発電の熱効率を求める問題です。
覚えるべきはコンバインドの効率式η=ηG+(1−ηG)ηS。「ガスタービンが取った残り(1−ηG)が排気として蒸気側に渡り、その20%を蒸気タービンが取る」という熱の流れを式にしたものです。
平成25年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題2
電験3種 電力科目 【火力】 平成25年度 A問題2
排熱回収方式のコンバインドサイクル発電所において、コンバインドサイクル発電の熱効率が48[%]、ガスタービン発電の排気が保有する熱量に対する蒸気タービン発電の熱効率が20[%]であった。
ガスタービン発電の熱効率[%]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、ガスタービン発電の排気はすべて蒸気タービン発電に供給されるものとする。
(1)23 (2)27 (3)28 (4)35 (5)38 %

コンバインドサイクルの効率式を作る
ボイラに入れた熱を1として、順に追いかけます。
| 段階 | 熱の量 | 電気になる分 |
| 入熱 | 1 | — |
| ★ガスタービン | — | ★ηG |
| ★排気の熱 | ★1−ηG | — |
| ★蒸気タービン | — | ★(1−ηG)ηS |
問題文が「ガスタービン発電の排気が保有する熱量に対する蒸気タービン発電の熱効率」と回りくどく書いているのは、ηS の分母が排気の熱だと示すためです。
η_G について解く
★35 %
ガスタービン単独では35 %——そこに蒸気タービンが加わって48 % まで上がるのです。
13 ポイントの上乗せ——捨てるはずだった熱の20 % を拾った結果になります。
式の意味をたどる
検算のつもりで、逆に計算してみましょう。
★入熱の65 %
★入熱の13 %
★確かに48 %
2つの数を足すだけ——順方向に計算すれば、式の意味がよく分かります。
試験では、この順方向で選択肢を試すほうが速いこともあります——(4)の35 % を入れて48 % になるか確かめるのです。
なぜ足し算になるのか
2つの発電機が、それぞれ別に電気を作っています——だから出力は足し算です。
ところが入れた熱は共通の1つ——燃料はガスタービンにしか入れていません。
分子だけが増えて分母は変わらない——だから効率が上がることになります。これがコンバインドサイクルの本質です。
⚠️ よくある間違い
単純に足してしまう——0.48−0.20=0.28 として28 %(選択肢(3))を選ぶのが最頻の誤りです。
ηS は入熱に対する効率ではありません——排気の熱に対する効率。だから(1−ηG)を掛ける必要があります。
掛け算にしてしまう——0.48/0.20=2.4 となってあり得ない値です。2つの発電機は直列ではなく、それぞれが電気を作るのです。
選択肢(1)の23 %、(2)の27 %——いずれももっともらしい誤りの値が用意されています。必ず順方向で検算しましょう。
⏱️ 本番での進め方
①★η=ηG+(1−ηG)ηS。
②★ηS の分母は「排気の熱」であって入熱ではない。
③単純な引き算だと28 % で選択肢(3)に誘導される。
④★順方向(0.35→0.65×0.2→0.48)で必ず検算する。
💡 覚え方
「残りの熱の何割を拾えたか」——それが ηS の意味です。だから(1−ηG)を掛けてから足す——引き算だけでは答えになりません。
コンバインドサイクルの高効率化は平成26年度 A問題3(火力:コンバインドサイクルの高効率化)にあります。
排熱回収方式とは
問題文の「排熱回収方式」——コンバインドサイクルの中でも主流の方式です。
| 方式 | 仕組み | 採用 |
| ★排熱回収方式 | ★ガスタービンの排ガスだけで蒸気を作る | ★現在の主流 |
| 排気助燃方式 | 排ガスに燃料を足して燃やす | 蒸気量を増やせる |
| 過給ボイラ方式 | 加圧したボイラの燃焼ガスでガスタービンを回す | — |
排熱回収方式では、燃料はガスタービンにしか入りません——だから式の分母が1つで済むのです。
問題文が「ガスタービン発電の排気はすべて蒸気タービン発電に供給される」と断っているのも同じ理由——途中で逃げる熱がないという前提です。
実際のコンバインドサイクルの効率
| 世代 | ガスタービン入口温度 | 総合効率 |
| 1,100 ℃ 級 | 1,100 ℃ | 約48 % |
| 1,300 ℃ 級 | 1,300 ℃ | 約52 % |
| ★1,600 ℃ 級 | ★1,600 ℃ | ★約62 % |
本問の48 % は1,100 ℃ 級に相当——実在する数値だと分かります。
入口温度を上げるほど効率が上がる——耐熱材料と冷却技術の進歩が、そのまま効率の向上につながってきたのです。
選択肢を順方向で試す
式を変形せずに、選択肢を代入して確かめる方法もあります。
| 選択肢の ηG | 排気の熱 | 蒸気が拾う分 | 合計 |
| 23 % | 77 % | 15.4 % | 38.4 % |
| 28 % | 72 % | 14.4 % | 42.4 % |
| ★35 % | ★65 % | ★13.0 % | ★48.0 %(一致) |
| 38 % | 62 % | 12.4 % | 50.4 % |
掛け算と足し算だけなので、暗算でも試せます——式変形に自信がないときは、この方法が確実です。
候補が5つしかないのですから、順に試して合うものを選ぶのも立派な解法になります。
ガスタービン単独の効率
35 % という値は、ガスタービン単独としては妥当な数字です。
| 方式 | 単独の熱効率 |
| ★ガスタービン単独 | ★30〜40 % |
| 汽力(蒸気タービン)単独 | 40〜45 % |
| ★コンバインド | ★50〜62 % |
ガスタービン単独では、汽力に及びません——排気を600 ℃ のまま捨てているからです。
その排気を使って初めて、汽力を上回る——組み合わせることに意味があるのがコンバインドサイクルなのです。
式を一般化しておく
本問の式は、2段に限らず何段でも同じ形で書けます。
★本問
★「捨てる割合」の積
「捨てる割合」で見ると、単純な掛け算になります——1段目が65 % を捨て、2段目がそのうち80 % を捨てる。
★48 % と一致
こちらの形で計算するほうが速いこともあります——変圧器の損失や効率の連鎖でも同じ考え方が使えます。
なぜコンバインドが有利なのか
1段目で捨てる熱が多いほど、2段目で拾える余地が大きくなります。
ガスタービンは排気温度が高い——600 ℃ もの熱を捨てているのです。
だから2段目の蒸気タービンが働ける——低い温度の排熱では、蒸気を作れません。
「効率の悪さ」が、次の段の資源になる——これがコンバインドサイクルの面白いところです。
まとめ
| 熱の流れ | 入熱1→ガスタービンη_G→排気(1−η_G)→蒸気側(1−η_G)η_S |
| 効率式 | η_CC=η_G+(1−η_G)η_S |
| 代入 | 0.48=0.20+0.80η_G |
| 解 | η_G=0.28/0.80=35%→(4) |
| 検算 | 0.35+0.65×0.20=0.48 ✓ |
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