今回は平成26年度 電力科目 B問題17を解説します。定格出力200MW・発電端熱効率36%・石炭の発熱量28000kJ/kgの石炭火力発電所について、(a)1日の燃料重量と(b)1日に発生する二酸化炭素の重量を求める問題です。
火力2・火力7・火力13と同じ効率・CO₂計算の定番型。①1kW·h=3600kJで熱量に揃えて効率と発熱量で割れば燃料量、②炭素分に44/12を掛ければCO₂——2ステップの流れ作業です。
平成26年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【火力】 平成26年度 B問題17
定格出力200MWの石炭火力発電所がある。石炭の発熱量は28000kJ/kg、定格出力時の発電端熱効率は36%で、計算を簡単にするため潜熱の影響は無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、石炭の化学成分は重量比で炭素70%、水素他30%、炭素の原子量を12、酸素の原子量を16とし、炭素の酸化反応は次のとおりである。 C+O₂→CO₂
定格出力200MWの石炭火力発電所がある。石炭の発熱量は28000kJ/kg、定格出力時の発電端熱効率は36%で、計算を簡単にするため潜熱の影響は無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、石炭の化学成分は重量比で炭素70%、水素他30%、炭素の原子量を12、酸素の原子量を16とし、炭素の酸化反応は次のとおりである。 C+O₂→CO₂
(a) 定格出力にて1日運転したときに消費する燃料重量の値[t]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。(1)222 (2)410 (3)1 062 (4)1 714 (5)2 366 t
(b) 定格出力にて1日運転したときに発生する二酸化炭素の重量の値[t]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)327 (2)1 052 (3)4 399 (4)5 342 (5)6 285 t

(a) 1日に燃やす石炭の量
出力から入熱を求め、発熱量で割るだけです。
★入熱555.6 MW
★kW=kJ/s
★約1,714 t
1日に1,700トン——大型のダンプカー数百台ぶんです。
石炭火力が港のそばに建てられるのは、この量を運び込むため——船から直接受け入れる必要があるのです。
(b) 炭素が二酸化炭素になる
化学反応式から、重さの比を求めます。
| 物質 | 分子量(原子量) | 計算 |
| ★C(炭素) | ★12 | 問題文で与えられている |
| O(酸素) | 16 | 同上 |
| ★CO₂ | ★44 | ★12+16×2 |
炭素12 kg が燃えると、二酸化炭素44 kg になります——酸素が結びつくぶん、重さが3.67倍に増えるのです。
★1,200 t
★約4,400 t
燃やした石炭1,714 t から、二酸化炭素4,400 t——2.6倍の重さになります。
増えた分は空気中の酸素——炭素と結びついて大気へ戻っていくのです。
1年でどれくらいになるか
★年間160万トン
200 MW の1基だけで、年間160万トン——石炭火力の CO₂ 排出が問題になる理由が数字で分かります。
実際には設備利用率があるので、これより少なくなります——それでも桁は変わりません。
⚠️ よくある間違い
(a)で効率を掛けてしまう——200×0.36=72 MW として計算すると222 tとなり選択肢(1)に一致します。
出力200 MW を出すのに必要な入熱は、それより大きい——だから割るのが正解です。
(a)で1日を24として計算する——秒に直さないと kJ になりません。86,400秒 を掛けます。
(b)で炭素70 % を掛け忘れる——1714×44/12=6,285 となり選択肢(5)に一致します。石炭がすべて炭素ではありません。
(b)で12/44 と逆にしてしまう——1200×12/44=327 となり選択肢(1)に一致します。燃えると重くなるので、44を分子に置きます。
⏱️ 本番での進め方
①(a)★効率で割る。掛けると(1)に誘導される。
②(a) 1日=86,400秒。kW×s=kJ。
③(b)★炭素の割合70 % を掛けるのを忘れない((5)の罠)。
④(b)★44/12 倍。燃えると重くなるので44が分子。
💡 覚え方
「炭素12が二酸化炭素44に」——3.67倍に増えます。増えた分は空気中の酸素だと考えれば、どちらを分子にするか迷いません。
発電方式別の CO₂ 排出量は平成19年度 A問題5(火力:発電方式別のCO₂排出量)にあります。
熱効率から入熱を求める型
火力の計算問題は、この関係を軸に組み立てられます。
| 問われるもの | 式 |
| 熱効率 | η=出力/入熱 |
| ★入熱 | ★入熱=出力/η |
| ★燃料量 | ★B=入熱/発熱量 |
| 発熱量 | H=入熱/B |
「効率で割る」のは、入熱のほうが出力より大きいから——掛けると小さくなって辻褄が合いません。
単位の換算をまとめる
| 換算 | 係数 | 使う場面 |
| ★1 kW·h → kJ | ★×3600 | 電力量を熱量に |
| ★1日 → 秒 | ★×86,400 | kW から kJ を出す |
| 1年 → 時間 | ×8,760 | 年間電力量 |
| kg → t | ÷1,000 | 燃料重量 |
本問は kW と秒で計算しました——kW×s=kJ になるからです。
kW·h で計算するなら、3600を掛けて kJ に直します——どちらでも同じ答えになるので、慣れたほうで進めましょう。
燃料の受け入れと貯蔵
1日1,700トンという量を、どう扱っているのでしょうか。
| 設備 | 役割 |
| ★揚炭機 | ★船から石炭を陸揚げする |
| ★貯炭場 | ★数十日分を屋外または屋内に積む |
| ★微粉炭機(ミル) | ★石炭を粉にしてバーナへ送る |
石炭は塊のままでは燃えにくい——粉にして空気と混ぜ、噴霧のように燃やすのです。
これを微粉炭燃焼といいます——表面積が増えて速く燃えることになります。
微粉炭機は大きな電力を使う補機——石炭火力の所内率が高い理由の一つでもあります。
燃やした後に残るもの
| 生成物 | 行き先 |
| ★CO₂ | ★煙突から大気へ(本問の4,400 t) |
| ★ばいじん(フライアッシュ) | ★電気集じん装置で捕集し、セメント原料などに |
| クリンカアッシュ | 火炉の底に落ちる灰 |
| SOx | 脱硫装置で石こうにする |
石炭の30 % は炭素以外——そのうち灰分は固体として残ります。
捕集した灰は産業廃棄物ではなく資源として使われます——セメントやコンクリートの材料になるのです。
計算の順序を確認する
(a)と(b)はつながっています——(a)を間違えると(b)も外れます。
| 順 | やること | 本問の値 |
| ① | 出力÷効率=入熱 | 555.6 MW |
| ② | ×86,400秒=1日の熱量 | 4.80×1010 kJ |
| ③ | ÷発熱量=燃料重量 | ★1,714 t |
| ④ | ×炭素比率=炭素の重量 | 1,200 t |
| ⑤ | ×44/12=CO₂ の重量 | ★4,400 t |
5段階すべてが掛け算か割り算——1つでも向きを間違えると答えが変わります。
各段階で「増えるはずか、減るはずか」を確かめる——それが最も確実な検算になります。
まとめ
| (a)1日の電力量 | 200×10³×24=4.8×10⁶kW·h→1.728×10¹⁰kJ |
| (a)入熱 | 1.728×10¹⁰/0.36=4.8×10¹⁰kJ |
| (a)燃料重量 | 4.8×10¹⁰/28000≒1714t→(4) |
| (b)炭素 | 1714×0.70=1200t(水素他30%は無関係) |
| (b)CO₂ | 1200×44/12≒4399t→(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・石炭火力の発電端効率と二酸化炭素排出量(火力13・同型):【電力】令和5年度上期 B問題15
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成26年度 問題一覧(全4科目)

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