今回は平成23年度 理論科目 A問題13を解説します。トランジスタを用いた非安定(無安定)マルチバイブレータ回路について、スイッチSの開閉によるコンデンサCの充放電とトランジスタのオン・オフ動作の空欄を補充する問題です。
Sはもう一方のトランジスタの代わりのスイッチです。S開放時はR2を介してベースに正電圧が加わりTrはオン。S閉時はCの電荷でベースが負になりTrはオフ、その後CがR2を通して放電し、ベースは負から正へ戻ってTrが再びオンになる、という動作を追います。
出題のポイント

平成23年度 理論科目 A問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 【電子理論(電子回路)】 平成23年度 A問題13
図のように、トランジスタを用いた非安定(無安定)マルチバイブレータ回路の一部分がある。ここで、Sはトランジスタの代わりの動作をするスイッチ、R1・R2・R3は抵抗、Cはコンデンサ、VCCは直流電源電圧、Vbはベースの電圧、Vcはコレクタの電圧である。初期条件としてコンデンサCの初期電荷は零、スイッチSは開いている状態と仮定する。
a. スイッチSが開いている状態(オフ)のときは、トランジスタTrのベースには抵抗R2を介して(ア)の電圧が加わるので、トランジスタTrは(イ)となっている。ベースの電圧Vbは電源電圧VCCより低いので、電流iは図の矢印「右」の向きに流れてコンデンサCは充電されている。
b. 次に、スイッチSを閉じる(オン)と、その瞬間はコンデンサCに充電されていた電荷でベースの電圧は負となるので、コレクタの電圧Vcは瞬時に高くなる。電流iは矢印「(ウ)」の向きに流れ、コンデンサCは(エ)を始め、やがてベースの電圧は(オ)に変化し、コレクタの電圧Vcは下がる。上記の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 正 オン 左 放電 負から正 (2) 負 オフ 右 充電 正から負 (3) 正 オン 左 充電 正から零 (4) 零 オフ 左 充電 負から正 (5) 零 オフ 右 放電 零から正

ポイント解説:S開でR2からベース正→Trオン、S閉でベース負→Trオフ→放電で正に戻る
a(S開):スイッチSが開いていると、ベースには抵抗R2を介して電源VCC側の正(ア)の電圧が加わる。正の電圧がベースに加わるのでトランジスタTrはオン(イ)。このときVbはVCCより低いので電流iは「右」向きに流れ、Cが充電される。
b(S閉):Sを閉じるとその瞬間、Cに充電されていた電荷でベース電圧が負になりTrはオフ、Vcは瞬時に高くなる。Cは接地側へ放電(エ)を始め、電流iは充電時と逆の「左(ウ)」向きに流れる。放電が進むとベース電圧は負から正(オ)へ変化してTrが再びオンになり、Vcは下がる。よって(ア)正・(イ)オン・(ウ)左・(エ)放電・(オ)負から正で答えは(1)。
問題の解説
STEP1 S開のとき
R2を介してベースに正の電圧→Trオン。(ア)正・(イ)オン。
STEP2 S閉の瞬間
Cの電荷でベース負→Trオフ、Vc上昇。電流iは逆向き(左)。(ウ)左。
STEP3 放電と復帰
CはR2側へ放電→ベースが負から正へ→Trオン、Vc下がる。(エ)放電・(オ)負から正→(1)。
答え:(1)
💡 覚え方
非安定マルチバイブレータ:S開はR2からベースに正電圧でTrオン(Cは充電・電流右)。S閉でベース負→Trオフ→CがR2側へ放電(電流左)→ベース負から正でTrオン→Vc下がる。この繰り返しで発振。
⚠️ よくある間違い
(ア)は正(R2はVCC側)。S閉後は放電(充電ではない)で電流は逆向きの左。ベース電圧は負から正へ戻る。充電時が右・放電時が左と電流の向きを取り違えない。
まとめ
| (ア) | R2からVCC側の正電圧 |
| (イ) | 正電圧でTrオン |
| (ウ) | 放電で電流は左向き |
| (エ) | Cは放電を始める |
| (オ) | ベースは負から正→(1) |
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