電験3種は電卓を持ち込める試験ですが、使える電卓に条件があります。普段使っている関数電卓は持ち込めません。当日に気づいても貸してもらえません。
条件は公式に明記されているので、そのまま確認しておきます。
公式が示している条件
使用できる:四則演算、開平計算(√)を行うための電卓を使用することができます
使用できない:数式が記憶できる電卓/関数電卓/印字機能を有する電卓
あわせて、次の注意も示されています。
| 注意点 | 内容 |
| 注意1 | 電卓の使用に際しては、音を発することはできません |
| 注意2 | 開平計算(√)が必要になりますので、開平機能付きの電卓を使用するようにしてください |
| 注意3 | 電卓の貸与はありません |
⚠️ よくある間違い
関数電卓は使えません。sin・cos・log などのキーが付いているものは持ち込めません。
普段の勉強を関数電卓でしていると、本番で操作が変わって戸惑います。買った電卓で勉強を始めるのが安全です。
必須の機能——開平計算(√)
公式にも「開平計算(√)が必要になりますので、開平機能付きの電卓を使用するようにしてください」とあります。これは電験3種の計算で√が頻繁に出てくるからです。
| 場面 | 式 |
| 三相の計算 | \(\sqrt{3} = 1.732\ldots\) |
| インピーダンス | \(Z=\sqrt{R^{2}+X^{2}}\) |
| 皮相電力 | \(S=\sqrt{P^{2}+Q^{2}}\) |
| 実効値 | 最大値÷\(\sqrt{2}\) |
| 力率から sin | \(\sin\theta=\sqrt{1-\cos^{2}\theta}\) |
💡 覚え方
√3や√2は暗記していても、\(\sqrt{R^2+X^2}\) は電卓なしでは出ません。√キーがない電卓は、電験3種では使いものになりません。
あると得をする機能
| 機能 | キーの例 | 何に効くか |
| メモリー | M+ / M− / MR / MC | 途中結果を保存できる。%Zの合成や電力の合成で書き写す手間が減る |
| 定数計算 | 機種により自動 | 同じ数を繰り返し掛ける・割るときに速い |
| 桁数の多い表示 | 10〜12桁 | \(10^6\) や \(10^{-6}\) が絡む計算で丸め誤差が減る |
| 大きめのキー | — | 押し間違いが減る。焦っているときに効く |
| 早打ち対応 | キーロールオーバー | 速く打っても取りこぼさない |
逆にいらない機能もはっきりしています。税計算、時間計算、グラフ——電験3種では一度も使いません。多機能なものより、四則演算と√とメモリーが確実に打てるものを選ぶほうが実戦的です。
選ぶときのチェックリスト
⏱️ 本番での進め方
☐ sin・cos・log などのキーがない(あると関数電卓とみなされる)
☐ √キーがある
☐ 数式を記憶する機能・印字機能がない
☐ 音が出ない(キー音のするものは避ける)
☐ メモリーキー(M+ / MR)がある
☐ 太陽電池+電池の2電源(電池切れで止まらない)
☐ 表示は10桁以上
⚠️ よくある間違い
電卓の貸与はありません。電池切れ、置き忘れ、条件違反——どれも当日はどうにもなりません。同じ機種を2台用意して1台を予備にする受験者もいます。少なくとも、試験前日に電池と動作の確認はしておきましょう。
CBT方式でも自分の電卓を使う
CBT方式はパソコンで解答しますが、画面上の電卓を使うのではなく自分の電卓を持ち込みます。条件も同じです。
CBT方式と筆記方式の違いはCBT方式と筆記方式はどちらを選ぶ?にまとめました。
練習も本番の電卓でやる
電卓は操作の慣れがそのまま速度になります。特にメモリーキーの使い方は機種によって癖があるので、過去問演習の段階から本番用の電卓を使ってください。
電験3種は1問あたり5〜10分で解ける設計です。電卓の操作で1問30秒余計にかかると、18問で9分——見直しの時間が丸ごと消えます。
メモリーキーの使いどころ
電験3種の計算は途中結果を持ち回るものが多く、メモリーが使えると転記ミスが減ります。
| キー | 働き | 使う場面 |
| M+ | 表示中の値をメモリーに足す | 有効電力を順に合計する |
| M− | 表示中の値をメモリーから引く | 差を取る |
| MR(RM) | メモリーの値を呼び出す | 合計を使って次の計算へ |
| MC(CM) | メモリーを消す | 次の問題に移る前に必ず押す |
⚠️ よくある間違い
問題を変えるときにメモリーを消し忘れる——これが本番でいちばん多い電卓のミスです。前の問題の値が足し込まれて、検算しても合わない状態になります。1問終わるごとにMCを押す癖をつけてください。
使ってみる
有効電力 60kW(力率0.6)と 80kW(力率0.8)の負荷の合成力率を求める場合。力率を平均してはいけないので、P と Q を別々に足します。
| 手順 | 操作 | 結果 |
| P の合計 | 60 M+ 、80 M+ 、MR | 140kW |
| 1つ目の Q | 60 ÷ 0.6 × 0.8 = | 80kvar |
| 2つ目の Q | 80 ÷ 0.8 × 0.6 = | 60kvar |
| Q の合計 | 80 + 60 = | 140kvar |
| 皮相電力 | 140 x² + 140 x² = √ | 約198kV·A |
| 力率 | 140 ÷ 198 = | 約0.707 |
\(\sin\theta = \sqrt{1-\cos^2\theta}\) を使うので、\(\cos\theta=0.6\) なら \(\sin\theta=0.8\)、\(\cos\theta=0.8\) なら \(\sin\theta=0.6\) です。3:4:5の直角三角形なので暗算できます。
この考え方はベクトル図の読み方に詳しくまとめました。
試験当日の持ち物
| 持ち物 | 注意 |
| 受験票 | 写真の貼付が必要な場合がある。事前に確認する |
| 電卓 | 条件を満たすもの。貸与はない |
| 筆記用具 | マークシートを塗るのでHB以上の鉛筆・シャープペンと消しゴム |
| 時計 | 会場に時計があるとは限らない。音の出ないもの |
| 身分証明書 | 本人確認に必要な場合がある |
電卓については、電池切れが最大のリスクです。太陽電池と電池の2電源式を選び、前日に動作を確認しておくと安心です。
受験手数料はインターネットによる申込み 7,700円(非課税)/郵送による書面の申込み 8,100円(非課税)です。この金額を無駄にしないためにも、電卓まわりの確認は前日までに済ませておきましょう。
本番でやりがちな操作ミス
| ミス | 起きること | 防ぎ方 |
| メモリーを消し忘れる | 前の問題の値が混ざる | 1問終わるごとにMC |
| 途中で四捨五入する | 最終値がずれて選択肢に合わない | 途中は丸めず、最後だけ丸める |
| 10の累乗を打ち間違える | 桁が1000倍ずれる | kやMは最後にまとめて処理する |
| √を掛ける位置を間違える | √3を掛けるべきところで割る | 先に図と式を紙に書いてから打つ |
| 「=」を押す回数を間違える | 定数計算が働いて余計に掛かる | 機種の癖を練習で把握しておく |
⚠️ よくある間違い
途中で四捨五入するのは想像以上に効きます。3桁で丸めながら4回計算すると、最終値が選択肢の隣とぶつかることがあります。電験3種の選択肢は近い値が並ぶので、丸めるのは最後の1回だけにしてください。
単位の扱いも同じです。kW と W、kV と V を混ぜて打つと桁がずれます。計算に入る前にすべてSI基本の単位にそろえるか、逆にすべてkにそろえるか、どちらかに決めてから電卓を打つと事故が減ります。
まとめ
・使えるのは四則演算と開平計算(√)ができる電卓
・関数電卓・数式記憶・印字機能つきは不可
・音が出るものは不可。貸与もない
・√キーは必須。メモリーキーがあると有利
・CBT方式でも自分の電卓を持参する
・練習の段階から本番用の電卓を使う

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