今回は平成22年度 電力科目 A問題2を解説します。火力発電所の環境対策について、LNGの使用・排煙脱硫装置・酸素濃度の低下・電気集じん器・排煙脱硝装置の5つの記述から誤っているものを選ぶ問題です。
ねらいは電気集じん器のイオンの極性。放電電極から放出されるのは負イオンで、粒子を負に帯電させて正極側の集じん電極(平板)で捕まえます。「正イオン」と書かれていたら誤りです。
出題のポイント

平成22年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【火力】 平成22年度 A問題2
火力発電所の環境対策に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。
燃料として天然ガス(LNG)を使用することは、硫黄酸化物による大気汚染防止に有効である。
排煙脱硫装置は、硫黄酸化物を粉状の石灰と水との混合液に吸収させ除去する。
ボイラにおける酸素濃度の低下を図ることは、窒素酸化物低減に有効である。
電気集じん器は、電極に高電圧をかけ、ガス中の粒子をコロナ放電で放電電極から放出される正イオンによって帯電させ、分離・除去する。
排煙脱硝装置は、窒素酸化物を触媒とアンモニアにより除去する。
ポイント解説:放電電極から出るのは負イオン——極性のすり替えに注意
(4)が誤り:電気集じん器は電極に高電圧をかけ、線状の放電電極のまわりにコロナ放電を起こし、そこから放出される負イオンによってガス中の粒子(灰じん)を負に帯電させ、クーロン力で反対極性の集じん電極(平板)に引き寄せて分離・除去する。問題文は「正イオン」としているので誤り。同じ電気集じん器の記述は平成29年度A問題3では「負イオン」で正しい選択肢として登場しており、極性の入れ替えだけで正誤を反転させる典型パターンである。
その他は正しい:(1)天然ガス(LNG)は硫黄分をほとんど含まないため、燃料として使うこと自体が硫黄酸化物(SOx)対策になる。(2)排煙脱硫装置は石灰(石灰石)と水の混合液にSOxを吸収させて除去する(湿式石灰石−石こう法。副生品は石こう)。(3)NOxは高温かつ酸素過多で生成するので、ボイラの酸素濃度の低下(低酸素燃焼・排ガス再循環・二段燃焼)はNOx低減に有効。(5)排煙脱硝装置は触媒とアンモニアでNOxを窒素と水に分解して除去する(アンモニア接触還元法)。よって答えは(4)。
問題の解説
STEP1 (4)の極性を確認
放電電極のコロナ放電から放出されるのは負イオン。「正イオン」は誤り→(4)。
STEP2 SOx対策を確認
(1)LNGは硫黄分をほぼ含まない、(2)脱硫は石灰+水でSOxを吸収——正しい。
STEP3 NOx対策を確認
(3)酸素濃度の低下はNOx低減に有効、(5)脱硝は触媒+アンモニア——正しい。
答え:(4)
💡 覚え方
電気集じん器:高電圧→線状の放電電極まわりにコロナ放電→**負イオン**で粒子を帯電→クーロン力で平板の集じん電極に捕集→槌打で払い落とす。環境対策の3本柱:【SOx】LNGなど低硫黄燃料+排煙脱硫(石灰石−石こう法)【NOx】燃焼改善(低酸素・二段燃焼・排ガス再循環)+排煙脱硝(触媒+アンモニア)【ばいじん】電気集じん器。H29問3・R03問4と同テーマの繰り返し出題——極性(負イオン)と装置名の対応を固めておく。
⚠️ よくある間違い
「正イオン」⇔「負イオン」の入れ替えが本問のねらい——放電電極から出るのは負イオン。脱硫(SOx・石灰)と脱硝(NOx・アンモニア+触媒)の対応を混同しない。酸素濃度は「低下」がNOx低減に有効(高めるのではない)。
まとめ
| (1)LNG | 硫黄分をほぼ含まずSOx対策に有効→正しい |
| (2)排煙脱硫装置 | 石灰と水の混合液でSOxを吸収→正しい |
| (3)酸素濃度の低下 | NOx低減に有効→正しい |
| (4)電気集じん器 | 帯電させるのは負イオン(正イオンではない)→誤り |
| (5)排煙脱硝装置 | 触媒とアンモニアでNOxを除去→正しい。答えは(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
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