こんにちは!電験職人です。今回は、電験3種 機械科目 令和6年度下期 問3「巻線形誘導電動機の特性と比例推移」について、どこよりも詳しく解説していきます。
この問題は、誘導電動機の中でも特に重要な「比例推移」という特性を問う問題です。トルク-回転速度曲線のメカニズムをしっかり理解することで、類似問題にも対応できるようになります。ぜひ最後まで読んでみてください!
【問題文】令和6年度下期 機械 問3|巻線形誘導電動機のトルク特性

問題文を整理すると、以下の4つの空欄(ア)〜(エ)を埋める組み合わせを選ぶ問題です。
| 空欄 | 問われている内容 |
|---|---|
| (ア) | トルク-回転速度曲線の前提条件として一定に保つもの |
| (イ) | 最大トルクの別名 |
| (ウ) | 最大トルクが無関係な回路の種類 |
| (エ) | 二次回路の抵抗がk倍になると滑りもk倍の点で同じトルクが発生する現象の名称 |
【正解】答えは(1)|ア:電源周波数・イ:停動・ウ:二次・エ:比例推移

正解は(1)です。4つのキーワードがなぜ導かれるのか、トルク曲線のメカニズムから順を追って解説します。
【解説①】(ア)トルク-回転速度曲線の前提条件とは?電源周波数が正解の理由
![電験3種 機械 令和6年度下期 問3 解説|[ア]基準となる曲線の前提条件(電源電圧と電源周波数)](https://denkenshokunin.com/wp-content/uploads/2026/03/kikai-r6shimoki-q3-slide04-a-joken.jpg)
誘導電動機のトルク特性(トルクカーブの形)は、モーターに供給される電気の条件によって決まります。具体的には、「電源電圧」と「電源周波数」の2つです。
問題文には「電源電圧及び(ア)が一定のとき」と書かれています。つまり、電源電圧はすでに明示されているので、(ア)に入るのは「電源周波数」となります。
📌 ポイント:なぜ「負荷」ではないのか?
選択肢(3)(5)には「負荷」が含まれていますが、「負荷」はモーターにかかる外部の力であり、モーター自身のトルク特性(グラフの形)を決める入力パラメータではありません。トルク特性を決めるのはあくまで電源側の条件(電源電圧・電源周波数)です。
【解説②】(イ)最大トルクの別名「停動トルク」とは?
![電験3種 機械 令和6年度下期 問3 解説|[イ]最大トルクの呼称(停動トルク)とトルク回転速度曲線](https://denkenshokunin.com/wp-content/uploads/2026/03/kikai-r6shimoki-q3-slide05-i-teido.jpg)
トルクカーブには山(頂点)があります。この頂点が、その電動機が発揮できる最大のトルクを示します。このトルクは「最大トルク」または「停動トルク」と呼ばれます。
「停動」と呼ぶ理由は、この最大トルクを超える負荷がモーターにかかると、モーターは回転を維持できずに停止(停動)してしまうからです。これはモーターが運転できる限界点を意味します。
📌 グラフで確認しよう
グラフの横軸は「滑り s」(s=0が同期速度、s=1が停止状態)、縦軸は「トルク τ」です。最大トルク \( au_m\) が発生する滑りを \(s_m\) と表します。
【解説③】(ウ)最大トルクが無関係な「二次回路」の抵抗とは?
![電験3種 機械 令和6年度下期 問3 解説|[ウ]二次回路の抵抗と最大トルクの関係(最大トルクは二次抵抗に無関係)](https://denkenshokunin.com/wp-content/uploads/2026/03/kikai-r6shimoki-q3-slide06-u-nijikai.jpg)
誘導電動機は、電源に接続される固定子側の「一次回路」と、回転する回転子側の「二次回路」に分かれます。
巻線形誘導電動機の大きな特徴は、この二次回路(回転子回路)に外部から抵抗を接続し、その値を可変できる点にあります。そして重要な性質として、二次回路の抵抗値を変えても、発生できる最大トルク(停動トルク)の大きさそのものは変化しません。
⚡ 重要:最大トルクは二次抵抗に無関係!
トルクカーブの「山の高さ(最大トルクの大きさ)」は、二次抵抗を変えても変わりません。変わるのは「山の位置(最大トルクが発生する滑りの値)」です。
【解説④】(エ)比例推移とは?二次抵抗と滑りの比が一定になる法則
![電験3種 機械 令和6年度下期 問3 解説|[エ]比例推移の核心理論(二次抵抗/滑り=一定)](https://denkenshokunin.com/wp-content/uploads/2026/03/kikai-r6shimoki-q3-slide07-e-hirei.jpg)
巻線形誘導電動機のトルクは、「二次抵抗(r)と滑り(s)の比」によって決まります。同じトルクを発生させるための条件は、この比が一定であることです。
これは、二次抵抗 r を k 倍にすると、同じトルクを発生する滑り s も k 倍のポイントに移動することを意味します。
このように、トルクカーブが二次抵抗に比例して横にスライドする現象を「比例推移」と呼びます。比例推移は、巻線形誘導電動機の始動特性の改善や速度制御に広く用いられる非常に重要な特性です。
【グラフで理解】比例推移によるトルク特性曲線の移動を視覚的に確認

この図(第2図)は、比例推移の概念を視覚的にまとめたものです。二次抵抗を \(r_a < r_b < r_c\) と大きくしていくと、以下のことが起こります。
- 最大トルクは一定:トルクカーブの山の高さ(最大トルク \( au_m\))は変わりません。
- 最大トルクの発生点が移動:最大トルクを発生する滑りの値が \(s_a ightarrow s_b ightarrow s_c\) と大きくなります(カーブが右にスライド)。
- 始動トルクが上昇:滑り s=1 の点が始動時にあたります。二次抵抗を大きくすると、始動時のトルクが上昇し、始動特性が改善されます。
比例推移の関係式は以下のとおりです。
【試験直前まとめ】比例推移の重要ポイントを完全整理

試験直前対策として、「比例推移」の重要ポイントを表にまとめました。二次抵抗を大きくしたときに各パラメータがどのように変化するのかを整理しておきましょう。
| 項目(二次抵抗を大きくした時の変化) | 結果 |
|---|---|
| 最大トルク(停動トルク)の大きさ | 🟰 不変(トルクカーブの山の高さは同じ) |
| 最大トルクが発生する滑り | ⬆️ 増加(グラフが右側へ移動する) |
| 始動トルク(s=1のときのトルク) | ⬆️ 増加(始動特性が改善される) |
比例推移の実用的な活用法
比例推移の特性を利用することで、巻線形誘導電動機では以下の2つの制御が可能になります。
- 始動特性の改善:始動時(s=1)に大きな抵抗を挿入することで始動トルクを最大化し、大きな負荷でも確実に始動できるようにする。
- 速度制御:二次抵抗の値を変えることで、同じトルクを発生する回転速度(滑り)を変化させ、速度を制御する。
まとめ|巻線形誘導電動機の比例推移を完全マスター
今回は、電験3種 機械科目 令和6年度下期 問3の「巻線形誘導電動機の特性と比例推移」について解説しました。一見複雑に見えるトルク特性も、以下の3つのポイントを押さえれば体系的に理解できます。
✅ 今回の重要ポイント3選
- 前提条件:トルク-回転速度曲線は、電源電圧と電源周波数が一定のときに描ける。
- 最大トルク(停動トルク):二次抵抗を変えても大きさは不変。変わるのは発生する滑りの位置。
- 比例推移:トルクは「二次抵抗/滑り」の比で決まる。二次抵抗をk倍にすると、同じトルクが発生する滑りもk倍の点に移動する。
特に比例推移は頻出の重要テーマです。この記事と解説動画を繰り返し確認して、完全にマスターしておきましょう!
この記事があなたの合格の助けになれば幸いです。引き続き、電験職人チャンネルをよろしくお願いします!

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