MENU

#16【電験3種 機械】R5下期 問4|誘導機のY-Δ始動トルク計算を完全攻略!「1/3の法則」とは?


目次

問題の概要と条件整理【Page 1-2】

まずは今回のテーマとなる問題を確認しましょう。令和5年度下期 機械科目 問4の問題です

問題の要点:

  • かご形三相誘導電動機を定格電圧で Y-Δ始動 した。
  • この時の 始動トルク(Y結線)は $60 N\cdot m$ であった。
  • 全電圧始動(Δ結線)時の始動トルク は、定格運転時のトルクの240% である。
  • 求めたい値: この電動機の 定格運転時のトルク

選択肢は (1) 35 ~ (5) 75 までありますが、計算で正確な値を導き出す必要があります

解法のロードマップ:3つのステップ【Page 3】

この問題を解くために、頭の中で整理すべき手順(ロードマップ)は以下の通りです

  1. STEP 1: Y-Δの原理理解 なぜ始動トルクが変化するのか、その比率($1/3$)の理由を理解する 。
  2. STEP 2: 全電圧トルクの算出 問題で与えられたY始動時のトルク($60 N\cdot m$)を、全電圧始動(Δ始動)時のトルクに換算する 。
  3. STEP 3: 定格トルクの導出 「240%」という比率条件を使って、逆算して答えを出す 。

Y-Δ始動の仕組みとトルク変化の原理【Page 4-5】

計算に入る前に、なぜY-Δ始動を行うとトルクが変わるのか、物理的な仕組みを押さえましょう。

【Page 4】 電圧の違い:$\frac{1}{\sqrt{3}}$ 倍

  • 全電圧始動(Δ結線): 電源電圧 $V$ がそのまま各相のコイルにかかります 。
  • Y-Δ始動(Y結線): 始動時はY結線にします。この時、各相のコイルにかかる電圧(相電圧)は線間電圧の $\frac{1}{\sqrt{3}}$ になります 。

つまり、始動時はコイルへの印加電圧を下げることで、過大な始動電流を抑制しているのです

トルクは電圧の2乗に比例する【Page 5】

ここが最大のポイントです。誘導電動機のトルク $T$ は、電圧 $V$ の 2乗に比例 します

$$T \propto V^2$$

Y結線にすると電圧は $\frac{1}{\sqrt{3}}$ 倍になるため、トルクの変化率は以下のようになります。

$$(\frac{1}{\sqrt{3}})^2 = \frac{1}{3}$$

結論として、Y始動時のトルクは、全電圧始動(Δ)時の $1/3$ になります 。この「1/3」という数字は暗記必須レベルの重要事項です。

ステップ1:全電圧始動時のトルクを求める【Page 6】

では、実際の計算に入ります。 問題文より、Y始動時のトルク($T_Y$)は $60 N\cdot m$ です

先ほどの法則より、全電圧始動(Δ)のトルク($T_{\Delta}$)は、Y始動時の3倍になります。

$$T_{\Delta} = T_Y \times 3$$

$$T_{\Delta} = 60 \times 3 = 180 [N\cdot m]$$

これで、もし最初から全電圧(Δ)で始動していた場合のトルクが $180 N\cdot m$ であることが分かりました

ステップ2・3:定格トルクを逆算する【Page 7-8】

次に、問題文の後半の条件を使います。 「全電圧始動時のトルクは、定格運転時の240%である」

これを式に表すと以下のようになります。ここで定格トルクを $T_n$ とします。

$$180 = T_n \times 2.4$$

ここでの注意点は、240%を計算式に入れる際は「2.4」として扱うことです。

定格トルク $T_n$ を求めるために変形します。

$$T_n = \frac{180}{2.4}$$

$$T_n = \frac{1800}{24} = 75$$

計算の結果、定格運転時のトルクは $75 N\cdot m$ となりました。 よって、正解の選択肢は (5) です

トルク-速度曲線での位置関係【Page 9】

計算結果をグラフ(トルク-速度曲線)でイメージしてみましょう。

  • 青い線(Δ-Start Curve): 全電圧始動時の特性。始動トルクは高い($180 N\cdot m$) 。
  • オレンジの線(Y-Start Curve): Y始動時の特性。始動トルクは低い($60 N\cdot m$) 。

実際の運転では、オレンジの線(Y)で始動して電流を抑え、回転数が上がった段階で青い線(Δ)に切り替え、最終的に定格点($75 N\cdot m$)で運転するという流れになります 。

まとめと試験対策:よくある間違い【Page 10-12】

最後に、この分野の重要ポイントと注意点をまとめます。

【Page 10】 Y-Δ始動の特性テーブル

以下の表の関係性は必ず覚えておきましょう

項目直入れ始動 (Δ)Y-Δ始動 (Y)比率 (Y/Δ)
コイル電圧$V$$\frac{V}{\sqrt{3}}$$\frac{1}{\sqrt{3}}$
始動電流$I$$\frac{I}{3}$$\frac{1}{3}$
始動トルク$T$$\frac{T}{3}$$\frac{1}{3}$

電圧だけが $\frac{1}{\sqrt{3}}$ 倍で、電流とトルクは $\frac{1}{3}$ 倍になる点に注意が必要です

【Page 11】 よくある間違い(試験対策)

  1. $\sqrt{3}$ と $1/3$ の混同: トルクは電圧の「2乗」に比例します。電圧が $1/\sqrt{3}$ なら、トルクはその2乗で $1/3$ になります。ここを混同しないようにしましょう 。
  2. パーセンテージの計算ミス: 「240%」を計算する際、0.24倍にしてしまうミスがあります。正しくは 2.4倍 です 。また、定格トルクを求める際は、掛け算ではなく「割り算($180 \div 2.4$)」になる点も注意してください 。

【Page 12】 最重要公式

今回の問題を解く鍵は、たった一つの物理法則でした。

$$T \propto V^2$$

この法則さえ理解していれば、Y-Δ始動の計算問題は怖くありません。次は、L型等価回路などの基礎も復習して、さらなる理解を目指しましょう

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次