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#8【電験3種】令和2年|機械 問15|誘導機の周波数変換を徹底解説!トルク一定運転と滑りの物理的意味

【電験3種】令和2年|機械 問15|誘導機の周波数変換を徹底解説!トルク一定運転と滑りの物理的意味

電験3種「機械」科目の令和2年度問15を題材に、誘導電動機の核心である「滑り」と「周波数」の関係を徹底解説します 。公式を丸暗記するのではなく、現象をイメージで捉えることで、初学者の方でもスッキリ理解できる内容に仕上げました


目次

スライド1:誘導電動機の特性解析:滑りと周波数の真実

誘導電動機の挙動を理解するキーワードは**「滑り(Slip)」**です 。このスライドでは、公式の奥にある「なぜそう動くのか」という現象の理解を目指します


スライド2:解析対象:問題文とデータの抽出

まずは、与えられたミッションを確認しましょう

項目60Hz時(定格)50Hz時(移行後)
定格出力 ($P$)45 kW ? kW(求める値)
定格周波数 ($f$)60 Hz 50 Hz
極数 ($p$)4極 4極
回転速度 ($N$)1746 min$^{-1}$ 滑り $0.05$ で運転
負荷条件トルク一定 60Hz時と同じトルク

この問題は、周波数が変わったときにモーターがどう「仕事」を変えるのかを問うています


スライド3:変数間の「物語」を理解する

誘導機は、固定子の磁界(親)を回転子(子)が必死に追いかける仕組みです

  • $f_1$ (固定子周波数):親が走るピッチ 。
  • $s$ (滑り):親に対する子の「遅れ」 。
  • $f_2$ (滑り周波数):この「遅れ」によって回転子に発生する電流の周波数 。
  • $N, T$ (速度・トルク):最終的な機械的な仕事 。

スライド4:設問(a) ステップ1:同期速度(磁界の速度)

モーターの理論上の最高速度である同期速度 ($N_s$) を求めます

$$N_s = \frac{120 \cdot f}{p}$$

$60\text{ Hz}$、4極の場合:

$$N_s = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \text{ min}^{-1}$$


スライド5:設問(a) ステップ2:滑り $s$ の導出

実際の回転速度 $N$ は $1746 \text{ min}^{-1}$ です 。磁界に対してどれだけ遅れているか(滑り)を計算します

$$s = \frac{N_s – N}{N_s}$$

$$s = \frac{1800 – 1746}{1800} = \frac{54}{1800} = 0.03$$

つまり、このモーターは滑り $3\%$ で回っています


スライド6:設問(a) 解答:滑り周波数 $f_2$

滑り周波数 $f_2$ は、回転子に誘導される電流の周波数です

$$f_2 = s \times f_1$$

$$f_2 = 0.03 \times 60 = 1.80 \text{ Hz}$$

正解(a):1.80 Hz このごく低い周波数が、モーターのトルクを生み出す源泉となっています


スライド7:設問(b) シナリオ:50Hzへの移行

電源周波数が $60 \text{ Hz}$ から $50 \text{ Hz}$ に変わります

  • トルク ($T$) は一定 を維持します 。
  • 滑り ($s$) は $0.05$ に悪化 します 。

この条件下で、モーターがどれだけのパワー(出力 $P$)を出せるかを求めます


スライド8:重要な物理法則:出力は回転数に比例する

$$P(\text{出力}) = \omega(\text{角速度}) \times T(\text{トルク})$$

トルク $T$ が一定という条件なので、周波数が下がって回転速度が落ちれば、出力 $P$ も必ず低下します


スライド9:ステップ1:基準となるトルクの算出 (60Hz時)

まず、$60\text{ Hz}$ でのトルクを求めます 。これが $50\text{ Hz}$ でも維持されます

$$T = \frac{P \times 60}{2\pi N}$$

$$T = \frac{45000 \times 60}{2\pi \times 1746} \approx 246.1 \text{ N}\cdot\text{m}$$


スライド10:ステップ2:50Hz時の回転速度

$50\text{ Hz}$ での実際の回転速度を求めます

  1. 同期速度の低下:$$N_s(50) = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \text{ min}^{-1}$$
  2. 滑り ($s=0.05$) による低下:$$N_{50} = N_s(50) \times (1 – s)$$$$N_{50} = 1500 \times (1 – 0.05) = 1425 \text{ min}^{-1}$$

スライド11:設問(b)解答:50Hz時の出力 $P_{50}$

求めた速度とトルクを合体させます

$$P_{50} = \frac{2\pi N_{50}}{60} \times T_{rated}$$

$$P_{50} = \frac{2\pi \times 1425}{60} \times 246.1 \approx 36.7 \text{ kW}$$

正解(b):約36.7 kW


スライド12:【別解】比率計算による検算

トルクが一定の場合、出力 $P$ は回転速度 $N$ に正比例します

$$P_{50} = P_{60} \times \left(\frac{N_{50}}{N_{60}}\right)$$

$$P_{50} = 45 \times \left(\frac{1425}{1746}\right) \approx 36.7 \text{ kW}$$

本番ではこの検算がミスを防ぐ強力な武器になります


スライド13:深層理解:なぜ滑りが増えたのか?

滑りが $0.03 \to 0.05$ に増えたことは、効率の悪化を意味します 。二次銅損(熱損失)は滑りに比例するためです 。 周波数が下がると冷却ファンの回転も遅くなるため、発熱の増加には特に注意が必要です


スライド14:重要公式まとめ

試験直前に見返したい、誘導機の「四種の神器」です。

  • 同期速度:$N_s = \frac{120f}{p}$
  • 滑り:$s = \frac{N_s – N}{N_s}$
  • 滑り周波数:$f_2 = s \cdot f_1$
  • 出力とトルク:$P = \frac{2\pi N}{60}T$

スライド15:実務への応用:移設時の注意点

西日本(60Hz)で使用していた装置を東日本(50Hz)に移設する場合、この問題のように出力は約20%も低下します($45 \to 36.7 \text{ kW}$)。 「同じモーターだから同じ仕事ができる」という思い込みは禁物です


今回の解説はいかがでしたか?誘導機の計算でまだ「ここがモヤモヤする」という部分はありますか?例えば「二次銅損をもっと詳しく知りたい」など、次のステップを提案していただければ喜んで解説します!

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