#44【電験3種 機械】平成26年度 問3 徹底解説|三相かご形誘導機の構造と特徴

電験3種 機械 平成26年度 問3 三相かご形誘導機 解説サムネイル

今回は、電験3種 機械科目の平成26年度 問3で出題された「三相かご形誘導機」に関する知識問題を取り上げます。

この問題は、誘導電動機の基本的な構造や特性に関する理解度を問う重要な問題です。特に「かご形」と「巻線形」の違いは頻出テーマですので、この機会にしっかりと特徴を整理し、得点源にしましょう。

目次

問題の確認|三相かご形誘導機に関する正誤問題

まずは、実際の過去問を見てみましょう。どの記述が誤っているか、考えてみてください。

電験3種 機械 平成26年度 問3 問題文 三相かご形誘導機に関する正誤問題の選択肢(1)から(5)
【過去問挑戦】平成26年度 機械 問3

【問題】
三相かご形誘導機に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 同じ容量の三相巻線形誘導機よりも構造が簡単で、安価である。

(2) 発電機として、一部の水力発電や風力発電に採用されている。

(3) 発電運転中の滑りは負となる。

(4) 大容量の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている。

(5) 回転子に棒状の導体を用いている三相かご形誘導機は、同じ容量の三相巻線形誘導機よりも機械的に過酷な使用に耐えられる。

解答と最重要ポイント|アルミダイカスト回転子は小容量向け

この問題の正解は(4)です。

正解は(4) アルミダイカスト回転子は大容量ではなく小容量の電動機に広く用いられるという解説スライド
解答と最大のポイント

最大のポイントは、「アルミダイカスト回転子は、主に小容量の電動機に用いられる」という点です。

問題文の「大容量の電動機に…広く用いられている」という記述が誤りです。アルミダイカスト製法は、溶かしたアルミニウムを金型に高圧で注入する方法であり、大量生産に向いています。そのため、小型のモーターで広く採用されています。

一方、大きな始動トルクが求められる大容量の電動機では、始動電流を抑制するために二次抵抗を調整する必要があります。これが可能なのは、スリップリングを持つ「巻線形誘導機」ならではの特長です。

各選択肢の深掘り解説|かご形誘導機の特徴を完全理解

それでは、他の選択肢がなぜ正しいのか、一つずつ詳しく見ていきましょう。

選択肢(1)と(5)の解説|かご形と巻線形の回転子構造の違い

選択肢(1)と(5)は、かご形誘導機の構造的な特徴に関する記述です。かご形と巻線形の最も大きな違いは、その名の通り「回転子」の構造にあります。

三相かご形誘導機と三相巻線形誘導機の回転子構造を比較した図解スライド
選択肢(1)・(5)の解説:回転子構造の比較

三相かご形誘導機の回転子

かご形の回転子は、棒状の導体をアルミダイカストなどで一体成型した、かごのような形状をしています。主な特徴は以下の通りです。

  • 構造が単純で安価(→選択肢(1)は正しい)
  • スリップリングが不要で、保守が容易
  • 極めて堅固で、機械的に過酷な使用に耐えられる(→選択肢(5)は正しい)

三相巻線形誘導機の回転子

巻線形の回転子は、鉄心に三相の巻線を施したものです。主な特徴は以下の通りです。

  • 構造が複雑で高価
  • スリップリングを介して外部抵抗と接続する必要がある
  • 外部抵抗の調整により、始動トルクの制御や速度制御が可能

このように、かご形はシンプルで頑丈、巻線形は複雑だが制御性に優れるという違いがあります。したがって、選択肢(1)と(5)の記述は正しいと言えます。

選択肢(4)の解説|アルミダイカスト回転子が小容量向けの理由

改めて、誤った記述である(4)について掘り下げます。

アルミダイカスト回転子の製造工程と小容量向け・大容量不向きの理由を解説したスライド
選択肢(4)の解説:アルミダイカスト回転子とは?

アルミダイカスト回転子とは、高純度のアルミニウムをスロットに加圧注入し、端絡環(ショートリング)や通風翼と一体構造にしたものです。この製法により、以下のメリットが生まれます。

  • 一体成型による高い生産性 → 大量生産に向き、コストを抑えられる
  • 小型化が容易 → 小さなモーターに最適

これらの理由から、主に15kW以下の小容量の電動機で広く採用されています。

逆に、非常に大きな始動トルクが求められる大容量機では、始動電流を抑えるために二次抵抗を調整する必要があります。これが可能なのは、スリップリングを持つ「巻線形」ならではの特長です。したがって、「大容量の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている」という記述は誤りです。

選択肢(2)と(3)の解説|滑り(s)と発電機運転の仕組み

最後に、選択肢(2)と(3)で問われている「滑り」と「発電機運転」について解説します。

滑りsの公式と電動機領域・発電機領域の関係を数直線で示した図解スライド
選択肢(2)・(3)の解説:滑り(s)と発電機運転

滑り(s) とは、回転磁界の速度(同期速度 Ns)と回転子の実際の速度(N)の差を示す指標です。以下の式で定義されます。

\[ s = \frac{N_s – N}{N_s} \]

この滑りの値によって、誘導機は「電動機」としても「発電機」としても動作します。

電動機領域(s > 0)

回転子の速度(N)が同期速度(Ns)より遅い状態です。

\[ N < N_s \quad \Rightarrow \quad s > 0 \quad \text{(正)} \]

これは一般的なモーターとしての運転状態です。回転磁界が回転子を引っ張るように回転させます。

発電機領域(s < 0)

外部の力(風力や水力など)によって、回転子の速度(N)が同期速度(Ns)より速くなった状態です。

\[ N > N_s \quad \Rightarrow \quad s < 0 \quad \text{(負)} \]

このとき、滑り(s)は負の値となり、誘導機は発電機として動作します。したがって、選択肢(3)「発電運転中の滑りは負となる」は正しい記述です。

また、この原理を利用した誘導発電機は、構造が簡単で丈夫なため、一部の水力発電や風力発電で実際に採用されています。したがって、選択肢(2)も正しい記述です。

【試験直前用】かご形と巻線形の比較まとめ表

今回の問題のポイントである「かご形」と「巻線形」の特徴を一覧表で確認しましょう。この表はスクリーンショットなどで保存して、試験直前の復習に役立ててください。

かご形誘導機と巻線形誘導機の構造・スリップリング・コスト・堅牢性・適用範囲を比較したまとめ表
【試験直前用】誘導機の比較まとめ
項目かご形巻線形
構造単純(棒状導体・ダイカスト)複雑(鉄心に三相コイル)
スリップリングなしあり
コスト安価高価
堅牢性極めて頑丈(過酷な使用に耐える)保守が必要
主な適用小〜中容量(主に15kW以下)大容量・大始動トルク用
かご形と巻線形の特徴比較

まとめ|三相かご形誘導機の重要ポイント

今回は、電験3種 機械 平成26年度 問3を通して、三相かご形誘導機の基本的な知識を学びました。最後に、重要ポイントを整理します。

  • かご形は「単純・安価・堅牢・小容量」が特徴
  • 巻線形は「複雑・高価・制御性に優れる・大容量」が特徴
  • アルミダイカスト回転子は主に小容量機(15kW以下)に用いられる
  • 回転速度が同期速度を超えると発電機として動作し、その時の滑りは負になる
  • 誘導発電機は一部の水力発電や風力発電で採用されている

これらのポイントをしっかり押さえて、誘導機に関する問題を得点源にしていきましょう!

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