電験3種の学習、お疲れ様です!
今回は、機械科目から令和7年度上期 問3「三相かご形誘導機」に関する知識問題を取り上げ、徹底的に解説していきます。
この問題は、誘導機の基本的な構造と動作原理を理解しているかを問う重要な問題です。特に「かご形」と「巻線形」の違い、そして「滑り」の概念は頻出テーマですので、ここでしっかりマスターしておきましょう!
- かご形と巻線形誘導機の「構造」「コスト」「堅牢性」「用途」の違いを整理できているか?
- 誘導機が発電機として動作する条件と、その時の「滑り」がどうなるかを理解しているか?
この2つのコア知識が問われています。それでは、スライドを見ながら一つずつ確認していきましょう。
問題文の確認

三相かご形誘導機に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 同じ容量の三相巻線形誘導機よりも構造が簡単で、安価である。
(2) 発電機として、一部の水力発電や風力発電に採用されている。
(3) 発電運転中の滑りは負となる。
(4) 大容量の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている。
(5) 回転子に棒状の導体を用いている三相かご形誘導機は、同じ容量の三相巻線形誘導機よりも機械的に過酷な使用に耐えられる。
この問題が問う「2つのコア知識」

この問題を解くためには、大きく分けて2つの知識が必要です。
まずは「Key 1」である、かご形と巻線形の比較から見ていきましょう。
かご形 vs 巻線形:回転子の構造比較

誘導機の種類を分ける最も大きな違いは、この回転子(ロータ)の構造にあります。
三相かご形誘導機は、その名の通り「かご」のような形をした導体を使っています。アルミダイカストで一体成型されることが多く、非常にシンプルで頑丈なのが特徴です。部品が少ないため、スリップリングのような外部との接続部分も不要です。
一方、三相巻線形誘導機は、鉄心に三相のコイル(巻線)を巻き付けた構造をしています。始動特性を改善するために外部の抵抗器と接続する必要があり、そのための「スリップリング」という部品が必須になります。部品点数が多く、構造は複雑になります。
構造・特性 比較マトリックス

両者の違いを表にまとめると、その特徴がより明確になります。
- 構造:かご形は「シンプル」、巻線形は「複雑」
- コスト:かご形は「安価」、巻線形は「高価」
- 堅牢性:かご形は「非常に丈夫」、巻線形は「かご形より劣る」
- 主な用途:かご形は「小~中容量」、巻線形は「大容量・高始動トルク用途」
この比較表の内容を頭に入れて、選択肢(1), (5), (4)を検証してみましょう。
検証1:構造と用途(選択肢 1, 5, 4)

- (1) 同じ容量の巻線形よりも構造が簡単で安価 → 正しい
比較表の通り、かご形は構造がシンプルでコストも安価です。 - (5) 棒状導体を用い、巻線形よりも過酷な使用に耐える → 正しい
これも比較表の通りです。シンプルで堅牢な構造は、かご形の大きなメリットです。 - (4) 大容量の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている → 誤り
これが誤った記述です。比較表で確認したように、アルミダイカスト回転子を持つ「かご形」は主に小・中容量(目安として15kW以下)で使われます。クレーンやポンプなど、大きな始動トルクが必要な「大容量機」には、始動特性を調整できる「巻線形」が選ばれるのが一般的です。
この時点で、答えは(4)だと分かりましたね。しかし、学習のためには残りの選択肢もしっかりと理解しておくことが重要です。次に「Key 2」である発電機運転と滑りについて見ていきましょう。
物理法則の視覚化:「滑り」が負になる瞬間

誘導機の「滑り」は、多くの受験者が苦手とするポイントですが、図でイメージすると非常に分かりやすくなります。
ここで、\( N_s \)は回転磁界の速度(同期速度)、\( N \)は回転子の実際の回転速度です。
通常の電動機(モーター)として動いているとき、回転子は回転磁界に引っぱられて回るため、必ず同期速度より少し遅くなります(\( N < N_s \))。そのため、滑り\( s \)は必ず正の値(\( s > 0 \))になります。
しかし、風力や水力などで外部から力を加えて、回転子を同期速度以上に無理やり速く回してあげるとどうなるでしょうか?(\( N > N_s \))
このとき、数式の分子(\( N_s – N \))がマイナスになります。その結果、滑り\( s \)は負(マイナス)の値となり、誘導機はモーターではなく発電機として動作するのです。これが誘導発電機の原理です。
検証2:発電機運転と滑り(選択肢 2, 3)

この原理を元に、残りの選択肢を見てみましょう。
- (2) 発電機として、一部の水力発電や風力発電に採用されている。 → 正しい
先ほど説明した通り、かご形誘導機は誘導発電機として実用化されており、特に構造がシンプルで保守が容易なため、小規模な水力発電や風力発電で広く利用されています。 - (3) 発電運転中の滑りは負となる。 → 正しい
これも原理の通りです。回転子が同期速度を超えて回転する(\( N > N_s \))ことで発電するため、滑りは必ず負になります。
結論と解答

以上の検証から、改めて結論です。
(4) 大容量の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている。
アルミダイカスト回転子を持つ三相かご形誘導機は、主に「小容量・中容量」に採用されます。大容量で、かつ大きな始動トルクが求められる電動機には、「三相巻線形誘導機」が多く採用されます。
したがって、この問題の解答は (4) となります。
本日のテイクアウェイ(重要ポイントまとめ)

最後に、今回の問題から学ぶべき重要なポイントを3つにまとめました。
- かご形誘導機の特徴
構造が極めてシンプルで頑丈、かつ安価。スリップリングも不要。主に「小・中容量」の用途で活躍する。 - 巻線形誘導機の特徴
構造は複雑でスリップリングを持つが、外部抵抗で始動特性を調整できるため、大きな始動トルクを出せる。主に「大容量」の用途に向く。 - 誘導発電機と滑り
外部の力で回転子を同期速度を超えて回転(\( N > N_s \))させると、滑りは「負(マイナス)」となり、発電機として機能する。
今回の問題は、誘導機の基本を幅広く問う良問でした。特に、かご形と巻線形の使い分け、そして滑りの概念は他の問題でも応用が効く知識です。何度も復習して、自分のものにしてくださいね。
解説は以上です。学習お疲れ様でした!

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