#41【電験3種 機械】令和5年度上期 問3 完全解説|三相誘導電動機の誘導起電力

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問題文

電験3種 機械 令和5年度上期 問3 問題文その1
電験3種 機械 令和5年度上期 問3 問題文その2と選択肢

次の文章は、三相誘導電動機の誘導起電力に関する記述である。

三相誘導電動機で固定子巻線に電流が流れると[ (ア) ]が生じ、これが回転子巻線を切るので回転子巻線に起電力が誘導され、この起電力によって回転子巻線に電流が流れることでトルクが生じる。この回転子巻線の電流によって生じる起磁力を[ (イ) ]ように固定子巻線に電流が流れる。

回転子が停止しているときは、固定子巻線に流れる電流によって生じる[ (ア) ]は、固定子巻線を切るのと同じ速さで回転子巻線を切る。このことは原理的に変圧器と同じであり、固定子巻線は変圧器の[ (ウ) ]巻線に相当し、回転子巻線は[ (エ) ]巻線に相当する。回転子巻線の各相には変圧器と同様に[ (エ) ]誘導起電力を生じる。

回転子が回転しているときは、電動機の滑りを s とすると、[ (エ) ]誘導起電力の大きさは、回転子が停止しているときの[ (オ) ]倍となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)交番磁界打ち消す二次一次1 − s
(2)回転磁界打ち消す一次二次1/s
(3)回転磁界増加させる二次一次s
(4)交番磁界増加させる二次一次1/s
(5)回転磁界打ち消す一次二次s

問題のポイント整理

問題のポイント整理:回転磁界・誘導起電力・滑りs

この問題を解くための鍵は3つのキーワードです。三相誘導電動機は、固定子に三相交流を流すことで「回転磁界」を発生させます。この回転磁界が回転子導体を切ることで「誘導起電力」が発生し、電流が流れてトルクが生まれます。そして、回転子の回転速度と回転磁界の速度の差を示すのが「滑り s」です。


解説① (ア):回転磁界

解説① 回転磁界の発生原理

三相交流を固定子の3組の巻線に流すと、それぞれの巻線が作る磁界が合成され、一定の速さで回転する磁界(回転磁界)が生まれます。これが三相誘導電動機の動力源です。

単相交流では交番磁界(大きさと向きが周期的に変わるが回転しない磁界)しか作れませんが、三相交流を空間的に120°ずつずらして配置した巻線に流すことで、滑らかに回転する磁界が生まれます。この回転磁界があるからこそ、誘導電動機は外部からの力なしで回り始めることができます。したがって、(ア)には「回転磁界」が入ります。


解説② (イ)(ウ)(エ):レンツの法則と変圧器との類似性

解説② 誘導電動機と変圧器の類似性

(イ) 打ち消す

回転子に電流が流れるのは、回転磁界の変化を妨げるためです。これは「レンツの法則」として知られています。つまり、回転子に流れる電流は、固定子巻線が作る起磁力を「打ち消す」方向に磁界を発生させます。これにより、作用・反作用の法則でトルクが生まれます。

(ウ) 一次 / (エ) 二次

誘導電動機は、構造的に変圧器と非常によく似たモデルで考えることができます。電源を接続する固定子側が変圧器の「一次」巻線、電磁誘導によって起電力が生じる回転子側が「二次」巻線と見なせます。


解説③ (オ):滑りと誘導起電力

解説③ 滑りと誘導起電力の比例関係

回転子に生じる誘導起電力の大きさは、回転子が回転磁界を切る相対的な速さによって決まります。この相対速度を示すのが「滑り s」です。

回転子が完全に停止しているとき(s=1)、相対速度は最大となり、起電力も最大(E₁)になります。一方、回転子が同期速度で回転している場合(s=0)、相対速度はゼロとなり、起電力もゼロになります。

\[ E = s E_1 \]

したがって、(オ)には「s」が入ります。


誘導電動機の等価回路(L形等価回路)

誘導電動機のL形等価回路

これは誘導電動機のL形等価回路です。固定子側が一次回路、回転子側が二次回路として描かれています。二次側の抵抗が

\[ \frac{1-s}{s} r_2′ \]

となっている部分が、機械的な出力を表しています。この等価回路を理解することで、誘導電動機のトルク特性や効率などを計算で求めることができます。


解答まとめ

解答まとめ 正解(5)
空白箇所正解根拠
(ア)回転磁界三相交流が固定子に作る合成磁界
(イ)打ち消すレンツの法則による起磁力の打ち消し
(ウ)一次固定子巻線 = 変圧器の一次巻線
(エ)二次回転子巻線 = 変圧器の二次巻線
(オ)sE = sE₁(滑りに比例)

したがって、正しい組み合わせは(5) 回転磁界 / 打ち消す / 一次 / 二次 / s となります。


まとめと試験対策

まとめと試験対策ポイント

三相誘導電動機の基本原理

三相交流 → 回転磁界 → 回転子に誘導起電力 → 電流 → トルク、という流れが基本です。

試験でよく問われるポイント

  1. 三相交流が作るのは「回転磁界」:「交番磁界」と混同しないように注意しましょう。
  2. レンツの法則:回転子電流は、磁界の変化を「打ち消す」向きに流れます。
  3. 変圧器との等価性:固定子=一次、回転子=二次という対応関係を覚えましょう。
  4. 滑り s の定義と影響:滑りが二次誘導起電力や周波数にどう影響するかを理解しておくことが重要です。
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