#56【電験3種 機械】平成26年度 問9 完全解説|三相かご形誘導電動機の速度特性と表皮効果

電験3種 機械科目 平成26年度 問9 表紙スライド

こんにちは!今回は、電験3種 機械科目 平成26年度 問9の過去問を解説します。

この問題は、三相かご形誘導電動機の基本的な特性(二次抵抗、表皮効果、速度特性)を問う穴埋め問題です。誘導機の基礎を理解する上で非常に重要なテーマが詰まっていますので、一つずつ丁寧に確認していきましょう!

目次

【問題】電験3種 機械科目 平成26年度 問9

電験3種 機械科目 平成26年度 問9 問題文1/2
電験3種 機械科目 平成26年度 問9 問題文2/2(選択肢)

問9 次の文章は,三相かご形誘導電動機に関する記述である。

定格負荷時の効率を考慮して二次抵抗値は,できるだけ (ア) する。
滑り周波数が大きい始動時には,かご形回転子の導体電流密度が (イ) となるような導体構造(たとえば深溝形)にして,始動トルクを大きくする。
定格負荷時は,無負荷時より (ウ) であり,その差は (エ) 。このことから三相かご形誘導電動機は (オ) 電動機と称することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)小さく不均一低速度小さい定速度
(2)大きく不均一低速度大きい変速度
(3)小さく均一低速度小さい定速度
(4)大きく均一高速度大きい変速度
(5)小さく不均一高速度小さい変速度

問題の概要とキーワード整理

問題の概要とキーワード整理

この問題は、三相かご形誘導電動機に関する5つの空欄を埋める問題です。以下の3つの重要なキーワードを押さえることで、確実に正解を導き出すことができます。

  • 二次抵抗と効率の関係(ア)
  • 表皮効果(深溝形回転子)(イ)
  • 滑り(すべり)と速度特性(ウ、エ、オ)

解説 STEP1:二次抵抗と効率の関係(ア)

STEP1:二次抵抗値は「小さく」する

まずは空欄(ア)について考えてみましょう。定格負荷時の効率を良くするためには、二次抵抗をどうすればよいでしょうか?

誘導電動機の二次効率(回転子効率)は、以下の公式で表されます。

\[ \eta_2 = \frac{P_o}{P_o + P_{c2}} = 1 – s \]

ここで、\( P_{c2} \) は二次銅損(熱として失われるエネルギー)です。二次抵抗が大きいと、この二次銅損が増大してしまい、結果として効率が低下してしまいます。

したがって、定格負荷時の効率を最大にする(熱損失を最小限に抑える)ためには、二次抵抗値をできるだけ「小さく」する必要があります。

答え:(ア) = 小さく

解説 STEP2:始動時の電流密度と表皮効果(イ)

STEP2:始動時の電流密度は「不均一」

次に空欄(イ)です。始動時の電流密度について考えます。

かご形誘導電動機の始動時(すべり \( s = 1 \))は、回転子が停止しているため、二次側の滑り周波数が電源周波数と同じになり、非常に高周波になります。高周波の電流が流れると、「表皮効果(スキン効果)」が顕著に現れます。

深溝形回転子のような構造では、溝が深いため、表皮効果によって電流が導体の外側(溝の上部)に集中して流れます。つまり、導体内部の電流密度が「不均一」になります。

電流が外側に集中すると、電流が流れる実効的な断面積が小さくなるため、等価的に二次抵抗が増大します。これにより、始動電流を抑えつつ、大きな始動トルクを得ることができるのです。

答え:(イ) = 不均一

解説 STEP3:定格時の速度と速度差(ウ・エ)

STEP3:定格時は「低速度」、差は「小さい」

続いて空欄(ウ)と(エ)です。誘導電動機の回転速度について確認しましょう。

誘導電動機の回転速度 \( N \) は、同期速度 \( N_s \) とすべり \( s \) を用いて次のように表されます。

\[ N = N_s(1 – s) \]

無負荷時はすべりがほぼ0(\( s \approx 0 \))なので、回転速度は同期速度とほぼ同じ(\( N \approx N_s \))になります。一方、定格負荷がかかると、トルクを発生させるためにすべりが生じます(\( s > 0 \))。そのため、回転速度は同期速度よりも少し遅くなります(\( N < N_s \))。

したがって、定格負荷時は無負荷時よりも「低速度」になります。また、一般的なかご形誘導電動機の定格時のすべりは 2〜5% 程度と非常に小さいため、無負荷時と定格負荷時の速度の差は「小さい」と言えます。

答え:(ウ) = 低速度、(エ) = 小さい

解説 STEP4:速度特性による電動機の分類(オ)

STEP4:かご形誘導電動機は「定速度」電動機

最後の空欄(オ)です。STEP3で確認した通り、かご形誘導電動機は無負荷から定格負荷まで負荷が変動しても、速度の変動が非常に小さい(数%程度)という特徴を持っています。

このように、負荷が変わっても「ほぼ一定の速度で回り続ける」特性を持つ電動機を「定速度電動機」と呼びます。この特性により、工場のポンプやファン、コンベアなどの機械設備に広く使用されています。

(※ちなみに、負荷によって速度が大きく変わる直巻直流電動機などは「変速度電動機」と呼ばれます。)

答え:(オ) = 定速度

解答まとめ

解答まとめ 正解は(1)

これまでの解説をまとめると、以下のようになります。

  • (ア) 小さく:二次銅損を減らして効率を向上させるため。
  • (イ) 不均一:表皮効果により電流が外側に集中するため。
  • (ウ) 低速度:負荷がかかるとすべりが生じ、同期速度より遅くなるため。
  • (エ) 小さい:すべりは2〜5%程度であり、速度低下はわずかなため。
  • (オ) 定速度:負荷変動に対する速度変動が非常に小さいため。

したがって、正しい組み合わせは (1) となります。

試験に出る!重要ポイント

試験に出る!重要ポイント

この問題で押さえておくべき重要ポイントを3つにまとめました。試験直前の見直しに活用してください。

  1. 二次効率
    \[ \eta_2 = 1 – s = \frac{P_o}{P_o + P_{c2}} \]
    すべりが小さいほど効率が高くなります。
  2. 表皮効果(深溝形)
    始動時は高周波(\( f_2 = f_1 \))となり、電流が外側に集中(不均一)します。これにより等価抵抗が増大し、大きな始動トルクが得られます。
  3. 速度特性
    \[ N = N_s(1 – s), \quad N_s = \frac{120f}{p} \]
    かご形誘導電動機はすべりが \( s \approx 2 \sim 5\% \) と小さく、定速度特性を持ちます。

補足:かご形 vs 巻線形 — どう違う?

かご形 vs 巻線形 — どう違う?

誘導電動機には「かご形」と「巻線形」の2種類があります。それぞれの特徴を比較表で整理しておきましょう。電験3種では、この2つの違いを問う問題も頻出です。

項目かご形巻線形
二次回路短絡(外部抵抗不可)外部抵抗接続可能
始動特性深溝形などで改善二次抵抗で調整可能(比例推移)
速度制御困難(インバータ使用)比例推移で可能
構造簡単・堅牢複雑・スリップリング必要
保守容易やや複雑
用途汎用(ポンプ・ファン等)クレーン・巻上機等

今日のまとめ

今日のまとめ

最後に、今日学んだことを振り返りましょう。

  1. 二次抵抗は小さく → 効率向上(銅損最小化)
  2. 深溝形の表皮効果 → 始動時に電流密度が不均一になり、大きな始動トルクを得る
  3. 定格時は低速度 → すべりにより同期速度より少し低い
  4. 速度差は小さい → すべりが2〜5%と小さいため
  5. 定速度電動機 → かご形誘導電動機の重要な特徴

誘導電動機の基本特性をしっかり理解して、合格への近道を進んでいきましょう!お疲れ様でした!

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