#46【電験3種 機械】平成19年度 問3 徹底解説|三相巻線形誘導電動機の構造と特徴

電験3種 機械 平成19年度 問3 三相巻線形誘導電動機の構造と特徴:徹底解説(表紙スライド)

今回は、電験3種 機械科目の平成19年度 問3で出題された「三相巻線形誘導電動機の構造と特徴」に関する知識問題について、詳細に解説していきます。

この問題は、誘導電動機の基本的な構造や動作原理、材料に関する知識を問うもので、一見すると長文で複雑に見えますが、4つの重要な技術テーマに分解することで、一つひとつを確実に理解することができます。

本記事では、スライドの内容を追いながら、各選択肢の正誤判断の根拠を丁寧に解説し、関連知識も併せて総整理します。電験3種の学習にお役立てください。

目次

問題文の確認|平成19年度 機械 問3(三相巻線形誘導電動機)

電験3種 機械 平成19年度 問3 問題文の確認:三相巻線形誘導電動機の構造に関する穴埋め問題
問題文の確認:平成19年度 機械 問3

まずは問題文全体を確認しましょう。

三相巻線形誘導電動機は、[ (ア) ] を作る固定子と回転する部分の巻線形回転子で構成される。
固定子は、[ (イ) ] を円形又は扇形にスロットとともに打ち抜いて、必要な枚数積み重ねて積層鉄心を構成し、その内側に設けられたスロットに巻線を納め、結線して三相巻線とすることにより作られる。
一方、巻線形回転子は、積層鉄心を構成し、その外側に設けられたスロットに絶縁電線を挿入し、結線して三相巻線とすることにより作られる。絶縁電線には、小出力用では、ホルマール線や [ (ウ) ] などの丸線が、大出力用では、[ (エ) ] の平角銅線が用いられる。
三相巻線は、軸上に絶縁して設けた3個のスリップリングに接続し、ブラシを通して外部(静止部)の端子に接続されている。この端子に可変抵抗器を接続することにより、[ (オ) ] を改善したり、速度制御したりすることができる。

選択肢は以下のとおりです。

選択肢(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)回転磁界高張力鋼板ビニル線ガラス巻線効率
(2)回転磁界けい素鋼板ポリエステル線ガラス巻線始動特性
(3)電磁力けい素鋼板ビニル線エナメル線効率
(4)電磁力高張力鋼板ポリエステル線エナメル線効率
(5)回転磁界けい素鋼板ポリエステル線エナメル線始動特性

本問を解くための「4つの視点」|長文問題の攻略法

電験3種 機械 平成19年度 問3 本問を解くための4つの視点(動作原理・鉄心材料・絶縁電線・制御機構)
本問を解くための「4つの視点」

この長文問題を攻略するために、以下の4つの技術的な視点に分解して考えていきましょう。

視点空欄問いかけ
視点1:動作原理(ア)固定子の根本的な役割は何か?
視点2:鉄心の材料と構造(イ)なぜその材料を「打ち抜いて積層」するのか?
視点3:出力に応じた電線(ウ)(エ)出力の大小で電線の形状・材質はどう変わるか?
視点4:特有の制御機構(オ)スリップリングや外部抵抗は何のためにあるのか?

長文問題を4つの技術テーマに分解し、一つずつ確実に対策することが合格への近道です。

視点1:固定子が「作る」もの(空欄 ア)|回転磁界とは何か

電験3種 機械 平成19年度 問3 視点1:固定子が作るもの(空欄ア)回転磁界の解説
視点1:固定子が「作る」もの(空欄 ア)

固定子(ステータ)の役割と動作フロー

三相誘導電動機の固定子には三相交流が印加されます。これにより、空間的に回転する磁界、すなわち「回転磁界」が発生します。これが電動機が回転する根本的な原理です。

  1. 固定子に三相交流を印加する(Input)
  2. 固定子が回転磁界を発生させる(Cause)← ここが(ア)
  3. 回転磁界が回転子を横切り、回転子に誘導電流が発生する(Induction)
  4. 誘導電流と磁界の相互作用で電磁力が生じ、回転子が回る(Result)

なぜ「電磁力」ではなく「回転磁界」なのか

選択肢にある「電磁力」は、固定子が作った回転磁界によって回転子に誘導電流が流れ、その結果として回転子に生じる力です。つまり、電磁力は「結果」であり、固定子が直接「作る」ものではありません。この点が誤答を誘う巧妙なひっかけポイントです。

したがって、(ア)に入る正しい語句は「回転磁界」です。この時点で、選択肢(3)と(4)は誤りであることがわかります。

視点2:鉄心の材料と構造(空欄 イ)|けい素鋼板と積層鉄心の理由

電験3種 機械 平成19年度 問3 視点2:鉄心の材料と構造(空欄イ)けい素鋼板と積層鉄心の解説
視点2:鉄心の材料と構造(空欄 イ)

なぜ「けい素鋼板」を積層して使うのか

電動機の鉄心には交番磁束が通るため、ヒステリシス損渦電流損という2種類の鉄損が発生します。この鉄損を低減するために、鉄心材料には次の工夫がされています。

工夫内容効果
けい素鋼板鉄に少量のけい素(Si)を添加した鋼板電気抵抗が大きくなり、渦電流損を低減。ヒステリシス損も小さい。
積層構造薄い鋼板を何枚も重ねて鉄心を構成渦電流が流れる経路を狭め、渦電流をさらに抑制する

なぜ「高張力鋼板」ではないのか

「高張力鋼板」はその名のとおり「強度」を重視した材料で、建築物の構造材や自動車のボディなどに使われます。磁気的な特性(低鉄損・高透磁率)は考慮されていないため、電気機器の鉄心には不向きです。

よって、(イ)には「けい素鋼板」が入ります。これにより、選択肢(1)も除外されます。

視点3:出力規模に応じた絶縁電線の使い分け(空欄 ウ・エ)|ポリエステル線とガラス巻線

電験3種 機械 平成19年度 問3 視点3:出力規模に応じた絶縁電線の使い分け(空欄ウ・エ)ポリエステル線とガラス巻線
視点3:出力規模に応じた絶縁電線の使い分け(空欄 ウ, エ)

電動機の巻線に使われる電線は、その出力規模によって使い分けられます。

出力規模形状材質・種類重視する特性
小出力用丸線ホルマール線、ポリエステル線など柔軟性(スロットへの挿入容易性)
大出力用平角銅線ガラス巻線など耐熱性・占積率の向上

「ビニル線」「エナメル線」が不正解の理由

  • ビニル線:耐熱性が低いため、連続的に熱が発生するモーターの巻線には通常使用されません。
  • エナメル線:大出力用の平角銅線には「ガラス巻線」が適切であり、エナメル線では耐熱性・占積率の要求を満たせません。

以上から、(ウ)には「ポリエステル線」、(エ)には「ガラス巻線」が入ります。(エ)がエナメル線となっている選択肢(5)が誤りだとわかります。

視点4:巻線形特有の制御機構とその目的(空欄 オ)|スリップリングと始動特性の改善

電験3種 機械 平成19年度 問3 視点4:巻線形特有の制御機構とその目的(空欄オ)スリップリングと始動特性の解説
視点4:巻線形特有の制御機構とその目的(空欄 オ)

スリップリングと外部抵抗の仕組み

巻線形誘導電動機の最大の特徴は、回転子巻線が外部に引き出されている点です。その経路は以下のとおりです。

三相巻線(回転子) → スリップリング → ブラシ → 外部の可変抵抗器

この外部端子に可変抵抗器を接続することで、二次回路(回転子回路)の抵抗値を変化させることができます。二次抵抗を大きくすると、始動電流を抑制しつつ、大きな始動トルクを得ることができます。この原理を「比例推移」と呼びます。

なぜ「効率」ではなく「始動特性」なのか

外部抵抗を接続する操作の主な目的は「始動特性」の改善です。外部抵抗を挿入すると二次回路での損失が増えるため、むしろ効率は低下します。「速度制御」にも利用されますが、問題文の文脈では始動特性の改善が主目的です。

したがって、(オ)には「始動特性」が入ります。

解答の導出プロセス|消去法で選択肢(2)を確定する

電験3種 機械 平成19年度 問3 解答の導出プロセス:消去法による選択肢(2)の確認
解答の導出プロセス(消去法による確認)

これまで見てきた4つの視点から、消去法で正解を導き出します。

ステップ判断内容脱落する選択肢
STEP 1(ア)「電磁力」を消去 → 「回転磁界」が正解(3), (4) が脱落
STEP 2(イ)「高張力鋼板」を消去 → 「けい素鋼板」が正解(1) が脱落
STEP 3(エ)「エナメル線」を消去 → 「ガラス巻線」が正解(5) が脱落
STEP 4(オ)「始動特性」を確認残るのは (2) のみ

全ての条件を満たすのは、【選択肢 (2)】のみとなります。

試験対策|かご形と巻線形の構造比較

電験3種 機械 平成19年度 問3 試験対策・総括:かご形と巻線形誘導電動機の構造比較表
【試験対策・総括】かご形と巻線形の構造比較

電験3種では、かご形と巻線形の違いも頻出テーマです。本問の理解を深めるために比較整理しておきましょう。

比較項目かご形巻線形(本問)
回転子の構造棒状導体(硬銅など)+短絡環積層鉄心に絶縁電線を用いた三相巻線
スリップリング・ブラシなしあり(外部回路と接続)
始動特性の調整構造的工夫(深溝・二重かご等)で対応外部の可変抵抗器により容易に調整可能
保守性単純で堅牢、保守が容易ブラシ等の定期的なメンテナンスが必要

重要キーワードまとめ|電験3種 機械科目で繰り返し問われる知識

電験3種 機械 平成19年度 問3 重要キーワードまとめ:けい素鋼板・ポリエステル線・ガラス巻線・始動特性
本問から持ち帰る!重要キーワードまとめ

本問で登場した重要キーワードを整理しておきましょう。これらの知識は、他の問題でも頻繁に問われます。

キーワード内容
固定子鉄心の材料けい素鋼板積層構造で、ヒステリシス損・渦電流損(鉄損)を低減する
小出力用電線丸線(ポリエステル線など)。柔軟性重視でスロットへの挿入が容易
大出力用電線平角銅線(ガラス巻線など)。占積率・耐熱性を向上させる
スリップリング・ブラシの目的二次回路を外部に引き出し、外部抵抗を接続するためにある
二次抵抗制御(比例推移)の効果始動特性を改善し、始動電流を抑えつつ始動トルクを増加させる

電験3種・機械科目では、これらのキーワードがセットで繰り返し問われます。確実に記憶して、本番に備えましょう。

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