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#37【電験3種 機械】令和6年度上期 問3 完全解説|三相誘導機の動作原理

皆さん、こんにちは!電験職人です。

今回は、電験3種 機械科目 令和6年度上期の問題から、多くの受験者がつまずきやすい「三相誘導機」の問3をピックアップして、徹底的に解説していきます。スライドと合わせて、一歩ずつ理解を深めていきましょう!


三相誘導機の動作原理をマスターしよう!

電験3種 機械 令和6年度上期 問3 解説スライド 表紙

問題文の確認(1/2)

電験3種 機械 令和6年度上期 問3 問題文1

まずは問題文を正確に読み解くことから始めましょう。次の文章は、三相の誘導機に関する記述です。

固定子の励磁電流による同期速度の(ア)と回転子との速度の差(相対速度)によって回転子に電圧が発生し、その電圧によって回転子に電流が流れる。トルクは回転子の電流と磁束とで発生するので、トルク特性を制御するため、巻線形誘導機では回転子巻線の回路をブラシと(イ)で外部に引き出して二次抵抗値を調整する方式が用いられる。回転子の回転速度が停止(滑りs = 1)から同期速度(滑りs = 0)の間、すなわち、1 > s > 0 の運転状態では、磁束を介して回転子の回転方向にトルクが発生するので誘導機は(ウ)となる。回転子の速度が同期速度より高速の場合、磁束を介して回転子の回転方向とは逆の方向にトルクが発生し、誘導機は(エ)となる。

問題文の確認(2/2):選択肢

電験3種 機械 令和6年度上期 問3 問題文2(選択肢)

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)交番磁界スリップリング電動機発電機
(2)交番磁界整流子発電機電動機
(3)回転磁界スリップリング電動機発電機
(4)回転磁界スリップリング発電機電動機
(5)交番磁界整流子電動機発電機

問題のポイントを整理しよう!

三相誘導機 問題のポイント整理

問題を解き始める前に、頭の中を整理しましょう。この問題で問われているのは、大きく分けてこの4つのポイントです。

(ア) 磁界の種類:三相交流が固定子に作る磁界は何か? (イ) 抵抗調整部品:巻線形の回転子から外部へ回路を引き出す部品は何か? (ウ) 運転状態(1 > s > 0):同期速度より遅い場合、モーター?発電機? (エ) 運転状態(s < 0):同期速度より速い場合、モーター?発電機?


(ア)の答え:固定子が作る磁界は「回転磁界」!

三相誘導機 回転磁界の解説

最初のポイントは、固定子が作る磁界の種類です。問題文に「三相の誘導機」とあるのが最大のヒントです。

交番磁界は単相交流によって作られる、向きが周期的に変わるだけの磁界で、回転はしません。一方、回転磁界は三相交流のように位相がずれた複数の交流を組み合わせることで、一定の速度で回転する磁界が生まれます。三相誘導機はこの回転磁界の原理を利用して回転子を回しています。

したがって、(ア)の答えは「回転磁界」となります。この時点で、選択肢は(3)か(4)に絞られます。

回転磁界の速度である同期速度 Ns [min-1] は、電源の周波数を f [Hz]、固定子の極数を p とすると、以下の公式で表されます。

\[ N_s = \frac{120f}{p} \]

(イ)の答え:二次抵抗を引き出す「スリップリング」!

三相誘導機 スリップリングの解説

次に、(イ)の部品です。問題文には「巻線形誘導機では回転子巻線の回路をブラシと(イ)で外部に引き出して二次抵抗値を調整する」とあります。

誘導機には「かご形」と「巻線形」の2種類がありますが、外部から抵抗を調整できるのは巻線形だけです。その際に使われるのがスリップリングブラシです。

スリップリングは、回転する回転子巻線と固定されている外部回路を電気的に接続するための部品で、交流をそのままの形で外部に伝えます。一方、整流子は主に直流機で使われ、交流を直流に変換する役割を持ちます。

この問題では交流のまま外部に引き出して抵抗を接続するため、(イ)の答えは「スリップリング」となります。これで選択肢は(3)に確定です!


(ウ)の答え:1 > s > 0 では「電動機」として動く!

三相誘導機 電動機モードの解説

ここからは、誘導機の運転状態に関する問題です。(ウ)では、滑りsが 1 > s > 0 の範囲にあるときの動作を問われています。

滑り s とは、回転磁界の速度(同期速度 Ns)と、実際の回転子の速度 N の「ずれ」を表す指標です。

\[ s = \frac{N_s – N}{N_s} \]

s = 1 は回転子が停止している状態(N = 0)、s = 0 は回転子が同期速度で回転している状態(N = Ns)を表します。

1 > s > 0 というのは、回転子が同期速度よりも遅く、かつ回転磁界と同じ方向に回転している状態です。このとき、回転磁界が回転子を追いかけて引っ張る形でトルクが発生し、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電動機として動作します。

よって、(ウ)の答えは「電動機」です。


(エ)の答え:同期速度超過では「発電機」になる!

三相誘導機 発電機モードの解説

最後に(エ)です。「回転子の速度が同期速度より高速の場合」の動作を問われています。これは、滑り s が負(s < 0)になる状態です。

外部から何らかの力で回転子を同期速度以上に回してやると、回転子は回転磁界を追い越してしまいます。すると、今度は逆に回転磁界が回転子を「引き戻そう」とする、回転方向とは逆向きのトルク(制動トルク)が発生します。

このとき、誘導機は外部から与えられた機械エネルギーを電気エネルギーに変換して電源側に送り返す、発電機として動作します。回生ブレーキもこの原理を利用しています。

したがって、(エ)の答えは「発電機」となります。


解答のまとめ

三相誘導機 解答まとめ

以上の解説から、各空欄に当てはまる語句は以下の通りです。

空欄答え
(ア)回転磁界
(イ)スリップリング
(ウ)電動機
(エ)発電機

この組み合わせと一致するのは、選択肢(3)となります。


試験で差がつく!重要ポイントまとめ

三相誘導機 重要ポイントまとめ

今回の問題を確実に得点するために、混同しやすい用語をしっかり区別しておきましょう。

比較項目区別のポイント
交番磁界 vs 回転磁界単相交流 → 交番磁界(往復)、三相交流 → 回転磁界(くるくる)
スリップリング vs 整流子スリップリング → 交流を引き出す、整流子 → 直流に変換
電動機 vs 発電機遅い(1 > s > 0)→ 電動機、速い(s < 0)→ 発電機

また、試験でよく出る公式として、滑りの式と同期速度の式は必ず覚えておきましょう。

\[ s = \frac{N_s – N}{N_s}, \quad N_s = \frac{120f}{p} \]

補足:巻線形誘導機の二次抵抗制御

巻線形誘導機 二次抵抗制御の補足解説

(イ)で登場した二次抵抗制御について、少し補足します。なぜわざわざ外部に抵抗を接続するのでしょうか?

それは、トルク特性を変化させることができるからです。スリップリングを介して二次抵抗 r₂ の値を変えると、トルクと滑りの関係(トルク-スリップ特性)が変化します。これを比例推移と呼びます。比例推移の関係式は以下の通りです。

\[ \frac{s’}{s} = \frac{r_2′}{r_2} \]

特に、二次抵抗を大きくすると起動時(s = 1)のトルクを大きくできるという大きなメリットがあります。これにより、重い負荷がかかった状態でもスムーズに始動させることが可能になります。クレーンや巻上機などに巻線形誘導機が使われるのはこのためです。


まとめ:三相誘導機をマスターしよう!

三相誘導機 まとめ

今回は、三相誘導機の基本的な動作原理について解説しました。回転磁界、スリップリング、滑りと運転モードの関係は、誘導機を理解する上で根幹となる知識です。今回の問題を通して、これらのキーワードの関係性をしっかり整理し、自分のものにしてください。

この記事が、あなたの合格の助けになれば幸いです。次の問題にも挑戦しましょう!

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