こんにちは!電験合格を目指す皆さんを応援する「電験職人」です。
今回は、電験3種 機械科目の平成27年度 問15に挑戦します。この問題は、三相巻線形誘導電動機の「比例推移」に関する超重要問題です。比例推移は、誘導機の速度制御や始動特性を理解する上で欠かせない知識であり、試験でも頻出のテーマとなっています。
「比例推移って何だっけ?」「トルクと滑りの関係がよく分からない…」という方もご安心ください。この記事では、12枚の図解スライドを使いながら、基本の原理から計算問題の解き方まで、誰にでも分かるように丁寧に解説していきます。
誘導機の比例推移

【スライド内容】
電験3種 機械科目
平成27年度 B問題 問15
誘導機の比例推移
~ 二次抵抗挿入による滑りとトルクの変化 ~
【詳細解説】
さあ、ここから解説スタートです!今回のテーマは、平成27年度の機械科目から、問15の「誘導機の比例推移」です。巻線形誘導電動機において、二次抵抗を変えると滑りやトルクがどう変化するのか、その関係性を解き明かしていく問題ですね。この1問をしっかり理解して、得点源にしていきましょう!
問題の前提条件を整理しよう

【スライド内容】
三相巻線形誘導電動機
・定格出力:Pn = 15 kW
・定格電圧:Vn = 220 V
・定格周波数:f = 60 Hz
・極数:p = 6
・二次抵抗:r2 = 0.5 Ω(各相)
・定格滑り:s = 5%(0.05)
・計算条件:L形簡易等価回路を使用、機械損・鉄損は無視
【詳細解説】
まずは問題文で与えられている条件を一つずつ確認していきます。計算問題を解く上での鉄則は、与えられた数値を正確に把握することです。特に、定格出力、電圧、周波数、極数、そして二次抵抗と定格滑りの値は、後の計算で全て使う重要なパラメータになります。L形簡易等価回路を使うこと、機械損や鉄損は無視することも、計算をシンプルにするための大切な指示ですね。
設問(a)と(b)の内容を確認

【スライド内容】
設問(a)
二次回路の各相に 0.2 Ω の抵抗を直列挿入し、同じ定格電圧・定格周波数で同じ負荷トルク Tn で運転した。
→ このときの滑りの値 [%] として最も近いものを選べ。
選択肢:(1) 3.0 (2) 3.6 (3) 5.0 (4) 7.0 (5) 10.0
設問(b)
設問(a)と同様に 0.2 Ω を挿入したまま、電圧だけを 200 V に変更。ある負荷トルクで安定運転。このときの滑りは(a)と同じ 7.0 %。
→ この安定運転時の負荷トルクの値 [N·m] として最も近いものを選べ。
選択肢:(1) 99 (2) 104 (3) 106 (4) 109 (5) 114
【詳細解説】
この問題は(a)と(b)の2部構成になっています。(a)では、二次抵抗を変化させたときに、同じトルクを出すための滑りがどう変わるかを問われています。これがまさに「比例推移」の考え方を使う場面です。(b)では、さらに電源電圧を変化させます。電圧が変わるとトルクはどうなるのか、というもう一つの重要な関係性が問われます。このように、段階を踏んで誘導機の特性を深く理解できる良問と言えるでしょう。
最重要公式!「比例推移の原理」

【スライド内容】
比例推移とは?
誘導電動機において、二次抵抗と滑りの比 r₂/s が一定なら、トルクは変化しない。
$$\dfrac{r_2}{s} = \mathrm{const} \implies T = \mathrm{const}$$
(r₂/s が一定 ⇒ トルク T も一定)
比例推移の公式:
$$\frac{r_2}{s_0} = \frac{r_2 + \Delta r}{s_1}$$
・r₂:元の二次抵抗
・s:滑り
・Δr:挿入抵抗
・s₁:新しい滑り
【詳細解説】
今回の最重要ポイント、「比例推移の原理」です!誘導電動機では、「二次抵抗 r₂ と滑り s の比、つまり r₂/s が同じ値であれば、発生するトルクも同じになる」という非常に便利な性質があります。二次抵抗 r₂ を大きくすると(抵抗を挿入すると)、同じトルクを出すためには滑り s も同じ比率で大きくしなければならない、ということです。この関係をしっかり頭に叩き込みましょう!
設問(a)を解く!比例推移で滑りを計算

【スライド内容】
元の条件:r₂ = 0.5 Ω、s₀ = 0.05
挿入抵抗:Δr = 0.2 Ω → 合成 r₂’ = 0.7 Ω
計算:
$$\frac{0.5}{0.05} = \frac{0.5 + 0.2}{s_1}$$
$$10 = \frac{0.7}{s_1}$$
$$s_1 = 0.07 \rightarrow 7.0\%$$
正解:(4) 7.0 %
【詳細解説】
それでは、先ほどの比例推移の公式を使って設問(a)を解いていきましょう。問題文より、負荷トルクは Tn のまま変化しないので、比例推移が適用できます。元の二次抵抗は0.5Ω、滑りは5%(0.05)でした。ここに0.2Ωの抵抗を直列に挿入したので、新しい二次抵抗は 0.5 + 0.2 = 0.7Ω となります。あとは公式に当てはめて、s₁ について解くだけです。計算すると、s₁ = 0.07、つまり7.0%となり、選択肢(4)が正解だと分かりますね。
設問(b)の準備:定格トルクを計算する

【スライド内容】
ステップ1:同期角速度 ω₀ の導出
$$\omega_0 = \dfrac{4\pi f}{p} = \dfrac{4\pi \times 60}{6} = 40\pi \ [\mathrm{rad/s}]$$
ステップ2:定格トルク Tn の導出
出力 P = 15 kW、定格滑り s = 0.05
$$T_n = \dfrac{P}{\omega_0(1-s)} = \dfrac{15000}{40\pi(1-0.05)} \approx 125.65 \ [\mathrm{N \cdot m}]$$
【詳細解説】
次に設問(b)に進みますが、その前に準備として「定格トルク Tn」の値を計算しておく必要があります。トルクを求めるには、まず同期角速度 ω₀ が必要です。公式 ω₀ = 4πf / p に周波数 f=60Hz、極数 p=6 を代入して、40π rad/s を得ます。次に、出力 P と回転角速度 ω = ω₀(1-s) の関係式 T = P/ω を使ってトルクを計算します。定格出力15kW、定格滑り0.05を代入すると、定格トルクは約125.65 N·mと求まります。この値が(b)の計算の基準になります。
設問(b)を解く!電圧変化とトルクの関係

【スライド内容】
重要原理:r₂/s が一定のとき、トルクは電圧の2乗に比例する
$$T \propto V^2$$
(r₂/s が一定の条件下)
計算:
$$T = T_n \times \left(\dfrac{V’}{V}\right)^2 = 125.65 \times \left(\dfrac{200}{220}\right)^2 \approx 103.84 \ [\mathrm{N \cdot m}]$$
正解:(2) 104 N·m
【詳細解説】
いよいよ設問(b)の核心です。ここでのポイントは、「r₂/s が一定の条件下では、トルクは電源電圧の2乗に比例する」という、もう一つの超重要法則です。問題文で、滑りは(a)と同じ7.0%と与えられているので、この法則が使えます。元の電圧は220V、変更後の電圧は200Vです。先ほど計算した定格トルク Tn を基準に、電圧比の2乗を掛けてあげましょう。計算すると、新しいトルクは約103.84 N·mとなり、最も近い選択肢(2)の104 N·mが正解となります。
グラフで理解する比例推移

【スライド内容】
トルク-滑り特性曲線と比例推移
・二次抵抗 r₂ を増やすと、特性曲線が右(滑りが大きい方)へ移動する
・最大トルクは不変(比例推移の重要な性質)
・始動トルクの改善や速度制御に利用される
【詳細解説】
数式だけだとイメージが湧きにくい…という方のために、グラフで比例推移を見てみましょう。これは誘導電動機のトルクと滑りの関係を示した「トルク-滑り特性曲線」です。二次抵抗 r₂ を大きくすると、グラフ全体が右側(滑りが大きい方)へ平行移動します。これが「比例推移」の正体です。重要なのは、山の高さ(最大トルク)は変わらないという点です。この性質を利用して、始動時(s=1)のトルクを大きくするなどの制御が行われるわけですね。
解答のまとめ

【スライド内容】
設問(a)の答え:7.0 %(選択肢 4)
・元の二次抵抗 r₂ = 0.5 Ω → 挿入後 0.7 Ω
・比例推移により滑り 5% → 7.0%
設問(b)の答え:104 N·m(選択肢 2)
・同期角速度 ω₀ = 40π rad/s
・定格トルク Tn ≈ 125.65 N·m
・電圧 220V → 200V で T ∝ V² より T ≈ 103.84 N·m
【詳細解説】
これまでの計算結果をまとめます。設問(a)は、比例推移の公式を使って滑りが7.0%になることを導きました。設問(b)は、トルクが電圧の2乗に比例する関係から、負荷トルクが約104 N·mになることを計算しました。それぞれ、何が変化して(抵抗 or 電圧)、結果どうなったのか(滑り or トルク)を整理して確認しましょう。
この問題の重要ポイント

【スライド内容】
1. 比例推移の公式:r₂/s = 一定
$$\frac{r_2}{s_0} = \frac{r_2 + \Delta r}{s_1}$$
2. 同期角速度の計算:
$$\omega_0 = \frac{4\pi f}{p}$$
3. トルクと電圧の関係:
$$T \propto V^2$$
(r₂/s が一定のとき)
4. 巻線形誘導電動機の特徴:スリップリングで二次抵抗を外部調整可能
【詳細解説】
この問題を解くために必要だった知識を4つのポイントに整理しました。①の比例推移、③のトルクと電圧の関係は特に重要です。②の同期角速度の計算は基本中の基本なので、絶対に間違えられません。そして④の巻線形誘導電動機だからこそ、二次抵抗を外部から変えられる、という前提知識も大切です。これらのポイントがしっかり頭に入っていれば、類似問題が出ても怖くありませんね。
補足:L形簡易等価回路とトルクの式

【スライド内容】
L形簡易等価回路:計算を簡略化するためのモデル
トルクの一般式:
$$T = \frac{3}{\omega_0} \cdot \frac{V^2 (r_2/s)}{(r_1 + r_2/s)^2 + (x_1 + x_2)^2}$$
→ r₂/s が一定なら、T ∝ V² の関係が成立する
【詳細解説】
少し発展的な内容として、誘導電動機のL形簡易等価回路と、そこから導かれるトルクの一般式を紹介します。この式を見ると、なぜ「r₂/s が一定なら T ∝ V²」になるのかが、より深く理解できます。分母と分子に r₂/s が含まれており、この値が一定だとすると、式の中で変化するのは電圧 V だけになります。そして V は2乗で効いてくるので、T ∝ V² の関係が成り立つわけです。理論的な背景を知っておくと、公式の丸暗記から一歩抜け出せますよ。
まとめと学習のポイント

【スライド内容】
解法の流れ
① 比例推移の公式 r₂/s = 一定 で滑りを計算
② 同期角速度 ω₀ から定格トルク Tn を算出
③ 電圧変化時は T ∝ V² を適用
最重要ポイント
「r₂/s = 一定」と「T ∝ V²」の2つの関係式をマスターしよう!
正解:(a) → (4) 7.0 % (b) → (2) 104 N·m
【詳細解説】
お疲れ様でした!最後に、今回の学習の総まとめです。この平成27年度 問15は、比例推移という頻出テーマを攻略する上で非常に教育的な問題でした。スライドで示した解法の流れと、2つの最重要ポイント(r₂/s 一定 と T ∝ V²)をしっかり復習して、自分のものにしてください。電験3種の学習は範囲が広く大変ですが、一つ一つのテーマを確実に理解していくことが合格への一番の近道です。これからも一緒に頑張りましょう!
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