スライド1:誘導機の構造と回転の仕組み

誘導電動機は、ステータ(固定子)で作られた回転磁界によってロータ(回転子)が回る仕組みです 。スライドの図にある通り、磁束の動きと電流の相互作用によってトルクが発生します 。今回の問題は、この内部で発生するエネルギーの「損失」と「出力」のバランスを解き明かすものです 。
スライド2:問題文の把握とデータの抽出

まずは与えられた条件を整理し、計算の基礎となるデータを抽出しましょう 。
- 線間電圧 $V_l$: $400\text{ V}$
- 線電流 $I_l$: $25.8\text{ A}$
- 力率 $\cos \theta$: $0.8$
- 滑り $s$: $4\%$($0.04$)
- 損失の条件: 鉄損 $P_i$ 及び一次銅損 $P_{c1}$ は、共に二次銅損 $P_{c2}$ の $1/2$ である 。
- $P_i = \frac{1}{2} P_{c2}$
- $P_{c1} = \frac{1}{2} P_{c2}$
スライド3:電力フローの全体像

誘導機の計算をミスなく進めるコツは、エネルギーの流れを可視化することです 。
- 一次入力 $P_1$: 電源から供給される全電力 。
- 一次側損失: ここで鉄損 $P_i$ と一次銅損 $P_{c1}$ が引かれます 。
- 二次入力 $P_2$: ギャップを介して回転子に伝わる電力 。
- 二次側損失: 二次銅損 $P_{c2}$ が発生します 。
- 機械的出力 $P_o$: 最終的に軸から得られる出力 。
エネルギー保存則により、**「入力 = 全損失 + 出力」**が成り立ちます 。
スライド4:Step 1 一次入力 $P_1$ の計算

三相交流の公式を用いて、電源からの入力を求めます 。
$$P_1 = \sqrt{3} V_l I_l \cos \theta$$
数値を代入すると以下の通りです。
$$P_1 = \sqrt{3} \times 400 \times 25.8 \times 0.8$$
$$P_1 \approx 14,300 \text{ [W]}$$
($\sqrt{3} \approx 1.732$ として計算 )
スライド5:Step 2 二次回路の比例関係

誘導機の計算で最も重要なのが、二次入力・二次銅損・出力の比率です 。
- 比率の関係: $P_2 : P_{c2} : P_o = 1 : s : (1-s)$
- 出力の変形: $P_o = \frac{1-s}{s} P_{c2}$
この関係式を使うことで、未知数である出力を、求めたい変数である二次銅損 $P_{c2}$ で表すことができます 。
スライド6:Step 3 問題特有の条件整理

問題文にある「鉄損と一次銅損は、二次銅損の半分」という条件を適用します 。
- $P_i = \frac{1}{2} P_{c2}$
- $P_{c1} = \frac{1}{2} P_{c2}$
これにより、すべての損失と出力を $P_{c2}$ という一つの変数だけで表現できるようになりました 。
スライド7:Step 4 エネルギー収支式の等式化

一次入力 $P_1$ を左辺に、損失と出力の合計を右辺に置いた方程式を立てます 。
$$\text{入力 } (P_1) = \text{損失 } (P_i + P_{c1} + P_{c2}) + \text{出力 } (P_o)$$
$$14,300 = \left( \frac{1}{2} P_{c2} + \frac{1}{2} P_{c2} + P_{c2} \right) + \frac{1-s}{s} P_{c2}$$
スライド8:Step 5 係数の計算と解法

滑り $s = 0.04$ を代入して整理します 。
- 一次・二次損失の係数: $\frac{1}{2} + \frac{1}{2} + 1 = 2$
- 出力の係数: $\frac{1-0.04}{0.04} = \frac{0.96}{0.04} = 24$
- 全体の係数: $2 + 24 = 26$
式はシンプルに $14,300 = 26 \times P_{c2}$ となります 。
スライド9:最終解答

方程式を解いて二次銅損を求めます 。
$$P_{c2} = \frac{14,300}{26}$$
$$P_{c2} = 550 \text{ [W]}$$
選択肢の中から最も近いものを選ぶと、(3) が正解となります 。
スライド10:ポイントのまとめ

誘導機の問題を攻略する定石を確認しましょう 。
- 公式の暗記: 一次入力 $P_1 = \sqrt{3} V I \cos \theta$ 。
- 比の活用: $P_2 : P_{c2} : P_o = 1 : s : 1-s$ 。
- 変数統一: 未知数が多いときは、滑り $s$ を利用して最も求めたい変数(今回は $P_{c2}$)に統一するのが鉄則です 。
今回の計算手順をマスターすれば、類題が出題されても落ち着いて対処できるはずです。より詳しい計算のコツや、他の年度の過去問解説も見てみたいですか?

コメント